安倍総理を叱る。(その1)

先月、えんだんじのブログではおよそ二年半前の平成28年(2016)11月5日のブログ「安倍首相、プーチンにのめりこまないでください。」の全文を紹介しました。プーチンの人格形成をKGBとFSB(両方とも俗に言う「秘密警察」)で働いてきたのが影響していると書いた。
それでは安倍総理の人格形成はどうかとみると、母型の祖父が岸信介首相、大叔父は佐藤栄作が首相、父親が安倍晋太郎外務大臣、政治家一家の次男坊、学校は成蹊小、中、高、成蹊大学法学部政治学科を卒業、神戸製鋼所に入社、三年後に退社。安倍晋太郎外務大臣の秘書になる。結婚相手は森永製菓、松崎昭雄社長の長女、昭恵。
どうですか、この安倍家の家系の華麗さ。安倍氏は大金持ちのぼんぼん育ち。私の極貧の波乱万丈の育ちと比べたら月とすっぽんの違い以上です
焦点をしぼって「新しい歴史教科書をつくる会」の話をします。私は「つくる会」神奈川支
部の会員です。入会は平成17年(2005)8月、会長が八木秀次の時です。私が入会した4カ月後の12月に八木は、「つくる会」の会長でありながら「つくる会」の執行部には極秘で、繰り返します、極秘で中国を訪問し、「中国社会科学院日本研究所」を訪れ、蒋立峰所長等と「新しい歴史教科書」をめぐって意見交換したというのだ。平成24年6月1日の朝日新聞は、「中国社会科学院」は人民解放軍と関係が深い機関と説明しています。

一方安倍晋三氏は、総理になる前の無冠の時代から「つくる会」の支援者だった。平成二十三年、この年教科書採択戦の年でもあり、安倍総理はわざわざ「つくる会」の機関誌「史」三月号に自分のメッセージを載せているのです。
長い文章なので最初の文章と最後の文章を引用します。最初出だしの文章、引用開始、
「昨年八月十日、日韓併合百年を迎えた菅首相は、与党内の議論抜きに、韓国の主張に副う
形で謝罪談話を閣議決定し発表しました。過去の文化財協力協定で決済済みの朝鮮王朝資料の返還も打ち出しました。引用終了。
その後も安倍総理は、安倍内閣の教育政策を語りながら、最後にこういう文章で終えました。
引用開始
長年に亘って地道に教科書の改善に取り組む「新しい歴史教科書をつくる会」の活躍は大変有意義で感謝し敬意を表します。今後とも一層の成果をあげられますよう期待します。
引用終了。
ここまでは「つくる会」と安倍総理との関係は健全だった。ところが八木秀次が「つくる会」の執行部に極秘の中国行きがばれ、八木秀次が「つくる会」を首になった。ここからが「つくる会」の運命が急転する。フジサンケイグループのドン、フジテレビの日枝社長が三億円を提出して育鵬社を設立、これまで「つくる会」の教科書を作っていた扶桑社を子会社として、新たに育鵬社が中学生用の歴史教科書、公民教科書を作成し、売り出すことになった。扶桑社と「つくる会」との10年間にわたる親密関係は完全に終わった。「つくる会」にとっては、新たに保守系の競争相手、教科書作成会社の登場です。この育鵬社が中学生用歴史教科書販売史上消すことのできない、以下の二つの点を巻き起こしたのだ。

一.育鵬社は平成二十三年の教科書採択戦に登場した。この教科書は、17年出版の「新しい歴史科書」の内容と文章を下敷きにして作られたものでしたが、中にはデッドコピーの箇所も多数存在していた。そこで、17年版「新しい歴史教科書」の代表執筆者である藤岡信勝氏は、全部で47か所にわたる著作権を侵害されたとして育鵬社を訴えましたが、平成26年12月19日には東京地裁が、二十七年9月10日には知財高裁が藤岡氏の訴えを棄却しました。
知財高裁曰く「歴史教科書の著作権は、国史大辞典等に既に書かれている歴史事実などを分かりやすくありふれた文章で記述したとしても、その教科書には著作権は認められない。」
歴史教科書というものは、言うまでもなく、一般歴史書に既に書かれているような歴史事実などを取り上げて、分かりやすくありふれた文章で記すものです。この判決は、歴史教科書の著作権を原理的に否定しています。今後はコピペ教科書があふれる事態になっていくかもしれません。この点に関して小山常美氏が彼の著書、「歴史教科書と著作権」(育鵬社歴史教科書事件判決を批判する)」、三恵社、340頁、3,400円)、ていねいに詳述しています。ぜひご覧ください。

二.育鵬社は、南京虐殺事件は「あった」と報道した。
日中歴史共同研究プロジェクトは、平成18年10月に訪中した安倍総理と胡錦涛国家主席との合意によって始められた。日本側座長は北岡伸一東大教授です。その一期報告書が平成22年1月に公表された。その中で特筆すべきことは、日本政府が南京虐殺事件の犠牲者数は未定だが南京虐殺事件そのものはあったと認めていることです。
平成23年7月20日、河村たかし名古屋市長のきもいりで中学校歴史、公民教科書の討論会が開催された。育鵬社の歴史教科書監修者の一人である石井昌浩氏(元拓殖大学客員教授は、「南京事件は確かにあった。これは事実です。犠牲者の数の実態についてはまだ論争が続いている」と発言した。これはこれまで「つくる会」が歴史教科書の検定を取るまでの工程と違っていた。「つくる会」は、南京事件を否定するためにいろいろ学術的に説明したが、文科省は南京事件を否定すると検定を絶対にくれなかった。そこで仕方なく「南京虐殺事件」はあったことにして文科省の検定をとっていた。こんど育鵬社が初めて歴史教科書の検定を取るとき、「南京虐殺事件」を肯定してくるだろう。一方「つくる会」は、いつまでもうそは書いて「南京虐殺」を肯定できないと、今度は初めて南京事件を肯定もしなければ否定もしない、南京事件のことは無視して何も書かずに検定をとることができたのだ。
この育鵬社の歴史教科書作成者の一人、石井昌浩氏が「南京虐殺事件があった」と公言したとき、大変驚愕する事件が起きた。私は日本の保守陣営の方々こぞって反対すると思っていたのに、誰一人反対をする者がいなかったのです。日本会議(田久保忠衛)、日本教育再生機構(八木秀次)、教科書改善の会(屋山太郎)、国家基本問題研究所(櫻井よしこ)、日本政策研究センター(伊藤哲夫)等、彼らは「反対の声」を何一つださないどころ、全員育鵬社支持者になった。「お前らバカか?」
私は極貧育ちのため、すこしでも上の生活をしたい。そのため媚びず、一匹狼を通してきた。
いざとなれば祖国優先です。ところがあなた方の保守は。安倍総理のおほめの言葉を得ようと、またフジサンケイグループは、保守言論界の雄、自分の名前の覚えを悪くしたくないと一斉に「つくる会」より育鵬社支持に力が入った。一方私はなまじ一度議員会館で安倍夫妻に会っているものだから、「安倍総理への緊急提言!」として「つくる会」の援助に関する手紙をかいた。結果は何一つ役立たなかった。安倍総理自身が育鵬社支持になっていた。私は日本がこんなことをしていると、中国政府の「南京大虐殺」のユネスコ記憶遺産に登録する行為が進むのではないかと心配していたが、案の定、平成27年10月10日にユネスコの記憶遺産に登録するよう申請していた許可がおりたのだ。

文科省はこれまで、「南京虐殺事件」を否定した歴史教科書には検定合格を与えなかった。そのため「つくる会」は「南京虐殺事件」をいわばうそを書いて肯定してきて検定合格をもらってきた。しかし平成23年度は南京虐殺事件のことは一切触れずして検定合格をとった。一方平成23年度の育鵬社は、「南京虐殺事件」は「あった」と公言しているので、検定合格とっています。
文科省が歴史教科書が「南京虐殺事件」を否定すると検定合格を与えないということは、これまで日本側に「南京虐殺事件」を否定する研究者が沢山いる、たとえば亜細亜大学教授、東中野修道氏、その他田中正明、鈴木明、冨沢繁信、阿羅健一、北村稔の諸氏がいる、文科省は彼らの意見をなにも信用できないというのでしょうか。私は安倍総理に直接聞きたい、これらの研究者の研究は、全然信用ならないと言うのですか?学問の真偽が多数決できめられると言うのですか。安倍総理の最大の失敗は、日中間で歴史問題で話し合えば、まともな結論が出ると思ったことだ。お坊ちゃま育ちで苦労しない人間は、たとえ外国人でも誠心誠意話会えば、話ができると信じていることです。ロシアのプーチンの場合も同じです。安倍総理にいくつか打ち明け話をしましょう。中国の「南京大虐殺」の書類がユネスコの記憶遺産に登録された日、平成27年10月10日、この日から一か月後の平成27年11月28日、東京で「南京大虐殺の歴史捏造を正す国民会議」が開かれた日、渡部昇一先生が議長
に選ばれた。彼は育鵬社の歴史教科書の監修者で、同時に南京虐殺はなかったと公言していた先生です。
櫻井よしこ氏は、「日本よ、『歴史力』を磨け」、文芸春秋社という本を書いた。第三章、「南京大虐殺の嘘」を南京虐殺事件の研究者、立命館大学教授、北村稔氏と対談しています。彼女は育鵬社歴史教科書の支持派で自分の顔写真を教科書に載せています。日本政策研究センターの伊藤哲夫氏は、毎月、雑誌「明日への選択」を出版しています。私も数年間購読していた。その間「つくる会」の記事など一度も書いたことがないのに、育鵬社が登場すると、育鵬社の記事が度々出版され、一方「つくる会」の話題は全然なし。私は頭に気て購読を止めてしまった。
日本会議、日本教育再生機構、教科書改善の会、国家基本問題研究所、日本政策研究センターなどこれらの会の指導者は、「南京虐殺事件」が「あった顔」を文科省や安倍総理にみせ、「なかった顔」を一般保守支持者に見せるという自分の顔を使い分けているのだ。
安倍総理、私は自民党を救おうと思って、自民党に入党としたのです。入党日:平成21年9月7日。党員NO.0914-000996-8.安倍総理の日中歴史問題、日露交渉、憲法問題、どれ取ってもダメ。世間では安倍総理の外に誰がいるかと言っている人が多いいが私自身は、ある程度政治に安定性がなくなって、経済がさらに不安定になってもかまわない。もともと極貧育ち、元に戻ったところで生きてゆける。安倍総理では日米間は仲良くできる、私はそれには賛成だ、しかし日本はアメリカの保護国のままだ、絶対にアメリカの保護国から完全に脱して独立した民主主義国家にはなれない。私はそれが、絶対にいやなのだ。

参考文献:小山常実、『歴史教科書と著作権』(育鵬社歴史教科書事件判決を批判する)
     三恵社、3400円。
     鈴木敏明、『保守知識人を断罪す』(「つくる会」苦闘の歴史)、総和社
     1500円。

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