TPP, 私の考え方

皆さんもTPPについていろいろ考えたと思いますが、私もいろいろ考えました。最初はTPPに賛成しました。情報が増えてくると私は反対にまわりました。そして現在では完全に賛成派になりました。私はせっかちです。だから決断するのも早い。そのために失敗することもあれば良かったこともある。それが性分です。しかし今回のTPPについては、決断が早いどころかその決断がくるくる変わった。これは私にしては非常にめずらしいケースです。その原因は、TTPが話題になり始めた頃は情報不足であったこと、詳細がわかってくると、簡単に賛成、反対と一言で言い切れない難しい面があること、そのためについメリット、デメリットにこだわりすぎ日本の現実直視を怠ったからです。私のTPPに対する考え方は以下の通りです。

1.日本の現実を直視すれば、賛成は当然。
現在のTPP騒ぎは多分にムード的です。日本人の悪いくせで難しい問題になると現実を直視して結論をだすのではなく、ムードで結論を出そうとするのだ。もし現在の日本が戦前時の日本だったら、日本はTPP参加には即座に拒否したでしょう。なにしろ日本の主導で大東亜共栄圏を計画していたからです。戦前時の日本は、自分の国を守る軍事力もあり、政治家も国民も国家意識が強く、自分の国は自分で守る意識が強く、どこからみても完全な独立国家であった。しかし現在の日本はどうですか。日本の軍事力(自衛隊)では、日本を守れないのです。その上政治家も国民も国家意識などないも同然。自分で自分の国を守ろうとする意志さえないのです。そのことが、現行憲法を改正できない最大の要因の一つです。北朝鮮が日本領土の上空を飛び越えるテポドンを飛ばしても、拉致事件でも日本は有効的な対抗策はなにもできません。韓国は竹島を自由自在にやりたい放題、ロシアも北方領土を自由自在にやりたい放題、尖閣諸島は日本に領有権があると云っても島に建築物一つ建てられず、日本国民は島に自由に上陸することさえできません。日本は、支那どころか北朝鮮や韓国に対しても恐くて何も手が出せない状態なのです。その上ここ数年日本の近隣諸国の軍事予算は上昇し続けているというのに日本の軍事予算は8年連続前年度を下まわり続けているのです。要するに日本は軍事的にアメリカの完全な保護国なのです。自立心を失った人が誰かに頼ることにすっかり慣れてしまったら、再び自立心を取り戻すには至難のわざです。国家も同じです。日本は自立心を失い、アメリカに頼ることにすっかり慣れてしまって半世紀以上です。日本国民が自立心を取り戻し、自分の国は自分で守ろうという真に独立した国になるまでにはあと何十年かかるのでしょうか。その間日本はアメリカの保護国として生きてゆかなければならないのです。この現実を直視してくださいと私は主張するのです。

そのアメリカの経済が完全に疲弊しまっているのだ。とうとう軍事予算まで大幅に削減しなければならなくなった。それを内心ほくそえんでいるのが支那です。アメリカが衰えれば衰えるほど、支那は日本近海で傍若無人な振舞いをしてくるでしょう。私に言わせれば支那は、「悪の帝国」、世界人類にとって脅威の国、特に隣国、日本にとって最大の脅威の国です。その支那が公然とアメリカの軍事力に対抗しているのだ。アメリカはその支那の対応に追われているような状態です。アメリカは、自国の経済を早く復活させねばならい状況に追い込まれているのです。アメリカ経済復活の起爆剤にしようとしているのがTTPなのです。そこで私は、TPPに絶対反対の保守強硬派に考えてもらいたいのです。アメリカ経済が疲弊すればするほど喜ぶのは支那です。アメリカが日本を軍事的に保護できなくなったら間違いなく日本は支那の保護国、あるいは支那の属国すなわち支那の「自治区」の一つになることは間違いないでしょう。現在空気のように当たり前のごとく享受している「自由、人権」など吹っ飛んでしまいます。そうなってもいいのですか。そうなるよりまだアメリカの保護国の方がましではないでしょうか。だからアメリカが経済的苦境に陥っている時、日本は多少なりともアメリカを助ける必要があるのではないでしょうか。だからここは日本政府がTPP参加を表明するくらい当然ではないでしょうか。保守強硬派は、ともすれば日本の過去の光栄に酔い、いさましいことを主張しますが、もう現在の日本は、もはや日露戦争や大東亜戦争を戦った頃の偉大な国ではないのです。国は、経済的貧困では滅びません。国民が自立心を失い、堕落した時に滅びるのです。現在の日本は、滅びる寸前、アメリカの保護国としてかろうじて独立を保っているような状態です。その日本が支那に軍事的に支配されたらアメリカの保護国のようにはいかないのはよく理解できるはずです。アメリカのTPP計画には支那は、入っていません。日本にとっては、余計に良いではないですか。ここはアメリカを助けるためにも、TPPに積極的参加してアメリカ主導のTPPから日米主導のTPPにすれば多くの参加国の加入が期待できます。そうなれば日米プラスアジア・太平洋諸国経済連携実現し、支那の脅威に対する有効的阻止力にも成りえるのです。だからと言って私は、アメリカ経済を助けるために全面的に譲歩せよなどとは絶対に主張するつもりはありません。参加することと項目別交渉は、別の話です。

2.TTP項目別交渉は、日米貿易摩擦交渉より容易。
日本は外交ベタで特に現政権の交渉力が弱いからTPPに参加しない方が良いという意見の人もいますが、それでは日本はどんな外交交渉も参加できなくなってしまいます。経済外交と言えば、思い出すのが1980年代から1990年代にかけての日米貿易摩擦による経済交渉です。この時の日米交渉より今度のTPP交渉の方がはるかにやりやすい。その理由は、二つあります。
(1)TPPは、多国間交渉である。
日米貿易摩擦による経済交渉は、日米二国間の交渉でした。二国間交渉では強者が弱者に勝つのが当たり前の感じです。しかも日米貿易摩擦当時、日本の経済発展がアメリカの脅威になっていたのだ。1989年の8月の「ビジネス・ウィーク」誌国際版によれば世論調査の結果として「米国に対する将来の脅威は、どちらが深刻か」との問いに、日本の経済的脅威は68%、ソ連の軍事的脅威は22%と報じているのです。また1993年に大統領になったクリントンは、退任後自伝を書いているが、その中で「当時の日本は経済的にアメリカを上回っていた」と書いています。だから当時のアメリカは総力をあげて日本経済をつぶしにかかってきた。だから日本は防戦一方だったわけです。それに比べればTPP交渉は、多国間交渉です。日本の意見と一致する国とは共同戦線を組むこともできます。日本のように外交ベタは、二国間より多国間交渉の方がやりやすいことも理解できます。

(2)日本政府には公言できない切り札がある。
これを説明するには、戦前の日米支関係と現在の日米支関係を比較する必要があります。戦前のアメリカは、支那が日本に占領されることを極端に恐れていた。アメリカは支那の市場を完全に失うし、日本が巨大な大国になってしまうからです。だから支那事変が始まると、アメリカは自国の中立法(交戦国や国内が内乱状態時では、軍事援助などはしない)を無視してまでも猛烈に軍事援助や経済援助を支那に提供した。そのアメリカの意図を蒋介石に見透かされた。日米開戦の翌月、蒋介石はアメリカ政府を脅迫したと言っていい。条件なしの5億ドルの借款をアメリカ政府に要求したのだ。5億ドルものお金を借りるのに、担保、利子、使い方、償還などに関する一切の条件なしで貸せと要求しているのです。ガウス支那駐在大使は、私利私欲のために使われる恐れがあると反対した。アメリカ政府もなんとかお金の使用方法についてだけでも監督権を得ようと交渉したが、蒋介石はガンとして承知しません。ついにアメリカ議会は無条件借款を承認、「これこそこの国の政府と国民が中国に抱いている、心からの尊敬と賛美」の証であるとルーズベルト大統領は蒋介石に伝えています。5億ドルもの大金を蒋介石にただでくれてやったのも同然です。恐らく蒋介石は、「支那が日本軍に降伏してもいいのか」と脅しをかけたに違いない。蒋介石は支那事変ではあれだけアメリカの支援を受けながら、日米開戦になったら相手の弱みにつけこみ5億ドルという大金ただ取りするのだ。日本人のメンタリティーではできないことです。

現在の日米支関係も見れば戦前と逆になっていることがわかります。現在は支那がアメリカの大変な脅威になっているのだ。日米軍事同盟は、締結以来アメリカにとって最重要軍事同盟になったのです。アメリカは、日本国内に親中派、媚中派が沢山いることを知っています。アメリカは日本に原爆を落としたことがトラウマになっています。日本は技術先進国です。その日本をアメリカは支那側につかせることなど絶対にできません。アメリカ経済が疲弊しているなか、日本政府は米軍駐留経費のおよそ75パーセントを負担しているのです。これは同盟国中最も高く、ドイツは20パーセントぐらいです。また日本にある米軍施設の価値は、米国以外では最高なのです。中でも横須賀はアメリカ母国の軍港以外では外国最大の軍港です。従って支那の脅威がある限り、アメリカの方で先に日米安保廃棄を言い出すことは絶対にありません。日本はTTP交渉では、最後まで徹底してねばれるのがおわかりでしょう。
例えば、日本国内の公共工事に外国企業を参加させろ、その場合公共工事の使用明細書は、英文で作れ、英文見積書も受け入れろなどと主張してくるかもしれません、そんなことは「文化侵略」だと主張し断固としてはねつけるのです。経済疲弊中のアメリカは手負いの獅子です。TPP交渉中になにを要求してくるか分からない不気味なところがありますが、日本には先にあげた公言できない切り札があるのです。ギブアンドテイクできるところはギブアンドテイクする。それがアメリカ経済をたすけることにもなる。しかし、ノーと言うべきところは徹底してノーと貫けるのです。あまりにもえげつない要求してくるようだったら、日本は支那側につくぞと脅してやってもいいくらいです。

3.TPPの荒波を、日本農業にさらせよ。
私が一時TPP反対を主張していた時でも、条件つきの反対で農業はTTPの荒波にさらすことに賛成でした。大体、貿易の自由化については日本の農業は他の産業にくらべて遅れています。米の輸入関税が778%という数字にはあきれはてて物が言えません。これほどの高関税で外国からの競争に守られている業界で働いているサラリーマンなど一人もいません。サラリーマンに言わせれば天国で働いているようなものではないですか。米の高関税は、徹底して競争にさらそうとせず、保護し続けた結果でしょう。しかし競争にさらされることによって業界が鍛えられ逆に強くなるケースも多いのではないでしょうか。一つ例をあげましょう。鹿児島県で和牛、黒毛牛を飼育する野崎さん。1991年4月に牛肉の輸入自由化が決定されて、野崎さんの牧場は一時絶望的な損害を受けた。その時、「自分の存在が徹底的に無視されたような気がした」と野崎さんは回顧しています。野崎さんは、外国産の牛に負けてたまるかとよりおいしい肉を生む新種の黒毛和牛、すなわち種牛の開発に乗り出し、日本全国の酪農地を訪問し試行錯誤の結果とうとう新種の黒毛和牛の種牛を開発したのだ。彼はその種牛に「のざき牛」を命名した。日本で初めて個人名をつけたブランド牛の誕生です。この「のざき牛」の開発と同時に、野崎さんは、おいしい肉を育てる野崎さん独自の肥料も開発しています。「のざき牛」は今では日本市場で極めて高値で取引されるブランド牛です。最近初めて海外に輸出された。香港の日本料理レストラン向けです。味の評判がすばらしいので将来が期待されているというのです。野崎牧場は、この「のざき牛」3500頭を育てる日本でトップクラス大規模農場です。ここの従業員は全員「牛」などと呼びすてにしません「牛さん」と「さん」付けで呼んでいます。その理由は、牛肉用の牛の人生すなわち「牛生」(ぎゅうせい)が短い、だから人が精一杯気遣うことで短い牛生を全うしてほしいとの想いと敬意から「牛さん」と「さん」付けで呼んでいるのです。どうですか、皆さん、野崎牧場では、3500頭の一頭一頭が手塩にかけて育てられている感じがするでしょう。

私は日本農業の真髄は、この「手塩にかけて育てる」ことにあると思っています。同じような言葉が支那語や韓国語にあるかどうかわかりません。英語の辞書で調べましたが、「手塩にかけて育てる」という言葉はありませんでした。和英辞典を引くとこう書いてあります。「bring up with tender loving care」。この表現では、「手塩にかけて育てる」の一部を言い当てているだけです。「手塩にかけて育てる」には、育てる人の魂や人生がこめられているような育て方の意味があるような気がしますが、皆さん、そう思いません?
もう10年以上前の話ですが、アメリカ産りんごが輸入解禁されて日本のりんご農家が青くなったことがありました。しかしアメリカ産りんごは全く売れなく、市場から姿を消した。考えてみれば、りんごのなる木からもぎとったりんごを売るのと農家が手塩にかけて育てたりんごでは味が全然違うのは当たり前の話です。アメリカ産チェリーの輸入自由化の時も山形県など産地は大反対したが、現在では山形県産のチェリーは「高級品化」し、生産高は輸入自由化前よりずっと増えている現状です。TPP反対論者は、日本の棚田が消滅するなどと言いますが、私はとんでもない消滅するどころか、棚田でできた米は「棚田米」というブランド米になるのではないかと考えています。大水田地帯を機械で植え、機械で刈るお米より棚田で手塩にかけて育てた米のほうがずっとおいしいと思います。また棚田の生産者も味の良さで勝負しようと、それこそいままで以上に「手塩にかけて育てる」でしょう。

とにかく日本の物作りの原点は、農業です。日本農業の真髄は、「手塩にかけて育てる」です。日本が重軽工業製品の品質の良さで世界を席巻してきたのは、「手塩にかけて育てる」から「手塩にかけて作る」精神で物作りに励んできたお陰なのです。だから私は、日本の農産物を海外市場で競争させれば、その品質の良さ、味の良さと安全性で世界市場を席巻できるはずなのです。食糧自給率を心配する人がいますが、輸出を増やせば増産され、それだけ自給率が上がるのです。この際、TTPという外圧を利用して、日本の農業改革を一気に進めるのです。勿論一時混乱しますから農業補償は、当分の間必要です。この時邪魔になり妨害するのが、「農協」という組合です。企業の組合を初め日本全国にある組合の活動には、共通事項があります。それは一旦獲得した権益は絶対に手放さず、改革には、理由をつけて大反対するということです。だからこそ外圧を利用して農協の権限を極端に小さくすることです。要するにTPPは、日本農業を改革するには絶好の機会なのです。

お知らせ:
読者の皆さん、この記事をもって今年最後の私のブログ記事とさせていただきます。今年も愛読していただき、またコメントも沢山いただきありがとうございました。今年の10月には「えんだんじのブログ」も満4年になりました。ここまで長く書けたのも皆様のおかげです。大変感謝しております。来年も引き続き月二回のペースで書き続けるつもりです。来年もぜひご愛読のほどお願いいたします。
それでは皆様来年も良いお年をお迎えください。

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