「日本のすごさ」

Newsweek(ニューズウィーク日本版)2018・5・15日号の表紙のタイトルがすごい、
「日本すごい」に異議あり!」
特集「村上春樹も相撲も漫才もつまらない?日本はすごいのか」など刺激的な文字を羅列していた。日本のテレビで人気のあるパックン氏(コラムニスト、タレント)が書いたお笑い番組についてのコメントの見出しは、『THE ART OF COMEDY, 「忖度の国」のお笑いスキル、一発芸や漫才など「センスの結晶化は欧米に劣る?権威をこき下ろす社会風刺が生まれない理由」と書いてある。
では、パックン自身はどのような文章を書いているのか、しばらく彼の文章を見てみましょう。
引用開始
『この数年で僕の意見は変わったのだ。多くの外国人同様、初めて見た時は日本のお笑いの面白さが全くわからなかった。「スリッパで頭をひっぱたくだけで笑いがとれるこの国ってすごいねぇ」と、軽く軽蔑していた。「コメディー」の頂点、アメリカから来た僕にとって、「お笑い」が解せなかった。一発ギャグもそう。リズムネタもそう。熱湯風呂に入ったり、熱々のおでんを食べたり、乳首を洗濯ばさみで挟んだりするだけで笑いをとる。「リアクション芸」もそう。どれもさっぱり分からなかった。ダチョウ倶楽部さん、ごめんなさい!
漫才のおもしろさもさっぱりだ。日本の芸人は、スタンダップコメディアンのように一人だけで笑いはとれないのか?ツッコミ役のしつっこい説明がないと観客はついていけないのか?それから笑いをとるボケ役と、単に突っ込むだけのツッコミ役のギャラって同じなのか?もう、訳がわからない。自国の芸風と異なる点を全部否定する。このうぬぼれっぷりも「アメリカ人ってすごいな」と振り返って思うところだが、実は僕が芸人を目指すことにしたのは、日本のお笑いをなめていたからでもある。しかしやってみると…目からうろこ!思った以上に、日本で笑いをとるのは難しい。スリッパたたきは技術のたまものだ!一発ギャグはセンスの結晶ダ!ダチョウ倶楽部さん、超天才!』
引用終了

まぁ、皮肉っぽく日本のテレビのお笑い番組を批評していますが、パックンの根底には、日本のお笑いは、欧米より少し落ちるのではないかと次のような理由を挙げています。
1.ネタが使えない禁止区域が広すぎる。
欧米の笑いは人種や宗教の違いや下ネタなど題材にするのが多い。これはどれも日本では使えない。
2.アメリカのコメディアンはテレビで、その番組の放送局やその親会社、スポンサーを含
めた企業も、商品も、政治家も、さらに芸能人をもどんどんネタにする。これが当たり前。
権力者やセレブを突き落とすのが芸能人の仕事だとされているから。
3.日本だけでなく英語圏以外の国から世界を制覇したコメディアンがほとんどいない。欧
米のコメディーがグローバルスタンダードになっているからです。
このように書いているパックンも自分では日本のテレビに身を置いているせいか、「日本
は忖度の国、体制側からの圧力が「すごい」。そんな制約の多い中で笑いをとるのも独特の
スキルとして認めるべきではないかと思う」と、同情的な書き方をしています。
それでは、このパックン氏の文章に反論しながら「日本のすごさ」を紹介しましょう。

国民の笑いや涙の背景を考える場合、その国民の歴史を考えて見るのが最適です。パックン
氏は日本通であるから江戸時代が300年の平和を満喫したのは知っているでしょう。日
本は平安時代には江戸時代より長い400年の平和を満喫したのです。平安時代とは、桓武
天皇が平安京(京都)に都に移してから1192年に鎌倉幕府が成立するまでの398年間
が平安時代と言われています。この時代の一大特徴は、非常に沢山の女性作家の登場です。
主な女性作家名、作品名、種類。発表年数をリストアップしてみましょう。
1.紫式部 「源氏物語」、長編小説、1008年
2.枕草子 「つれづれ草」、随筆、996年
3.藤原道綱の母 「蜻蛉日記」、自伝的小説、975年
4.紀貫之 「土佐日記」、紀行文、日本文学史上初めての日記文学、934年。
紀貫之は、その他に「古今和歌集」、全20巻、歌数1111首、912年頃。四人の選者の一人であり且つ選者の主役です。
5.和泉式部 「和泉式部日記」、日記、1008年
6.紫式部  「紫式部日記」、日記、1010年
7.小野小町、歌人、古今和歌集の序で六歌仙の一人の女性と選ばれています。絶世の美人と言われ、生誕地もお墓も全国に散らばっていると言われています。三十六歌仙となると女性歌人が続々と登場してきます。

昔の男社会の中でこれだけの女性文学者が活躍しているのは日本だけです。当時では女性の活躍は世界の最先端だったのです。特に紫式部の「源氏物語」は世界最初に女性が書いた長編小説です。パックン氏初め欧米人が崇めるシェイクスピアは男性ですが、生まれたのは1564年です。「源氏物語」誕生から500年も経っているのだ。アメリカ人女性、マーガレット・ミッチェルの書いた世界的ベストセラー、「風と共に去りぬ」が出版されたのが1936年です。人類最初の女性小説家誕生から900年も超える年月が経っているのです。平安時代に数多くの女性文学者が活躍するためには国内で戦争があったのでは執筆活動などできません。西尾幹二氏は、自著「国民の歴史」(産経新聞社)の中でこう書いています。
「嵯峨天皇の弘仁年間(810―823年)以来、死刑が実際上の廃止という出来事が起こった。後白河天皇の時代の保元の乱(保元元年・1156年)による源為義などに対する
処刑まで、26代、346年間、実際上死刑が執行されることはなかった。このことは日本刑法史上はもとより、世界刑法史上よりみても注目に値する事実である。」
まさに日本列島は平和そのものであったのだ。
平安時代の後、17世紀初めに江戸時代をむかえますが、この時代もおよそ300年間の平和を体験しています。現在の天皇陛下は125代目です。ざっと2000年の歴史がありますが、そのおよその三分の一の700年間が平和だったのだ。しかも日本は島国で海外領土も一切なく純然たる日本列島での幸せを築いたのです。なぜ幸せを築けたのか。日本人は、その国の平和は、自己主張の強さより他人への気配り、すなわち「忖度」が優先されるということを知っていたのです。その「忖度」対する欧米の気質は何か「自己主張」です。ペリーが幕末日本にやって来た時のアメリカの国務長官、ダニエル・ウエブスターは、こう言っています。
「日本列島の地下深く埋蔵する石炭は、万物の想像物である神の御心により全人類のためにさずけられたもの」と語っています。この自己主張の強さを見てください。この自己主張の強さに一神教が加わるとこれほどの傲慢になるのだ。これではいずれ日米戦争が起きるのは当たり前です。私たち日本人は、日本列島全体で平和に暮らすには、自己主張の強さより相手への気配りが重要であることを知っていたのです。このため「お笑い」においてはアメリカでお馴染みの悪の強いネタは嫌われるのです。他人への気配り、「忖度」が優先するのです。

少し長い説明になりましたが、パックン氏は日本のお笑いが欧米より少しおちる例を三つあげていますが、そのうちの1,2はこれで説明できます。3。「日本だけでなく英語圏以外の国から世界を制覇したコメディアンが殆どいない。欧米のコメディーがグローバルスタンダードになっている。」この理由を説明いたしましょう。
欧米諸国は、高度な科学文明の有利さで異民族支配に長けていたことが事実です。もし日本という国がなければ、支配する白人種と支配される有色人種に分かれ、有色人種の国で独立国はごく限られたものになったでしょう。英語が国際語化され、映画産業が先進国だったし、欧米風の物の見方、考え方世界的に広がっていったことは確かです。そのため欧米のコメディーがグローバルスタンダードになったのです。

アメリカの歴史は新しいことは知っているが、念のためアメリカの建国記念日を調べたら、1776年7月4日です。まだ建国250年にも達していないのだ。すなわちまだ江戸時代より短いのだ。歴史の古い日本では、農家が300年続けて農家していた家系はざらにあります。江戸時代に発展した歌舞伎は、現在では400年を超える歴史を持ち、現在でも興行され、時には外国でも興行されているのだ。日本の歌舞伎や相撲は、エンターテイメントの世界でも先進国なのだ。パックン初め多くの外国人が日本のテレビのお笑い番組は、最初はさっぱりわからないのは当然です。「忖度」の文化など知らないからだ。アメリカの建国ぐらいの長さの歴史を誇る「老舗」など日本ではありすぎて数えきれません。

平安時代の古今和歌集を紹介したが、日本最古の歌集は、万葉集だ。奈良時代に編集されたというが、57577という31文字で綴る短歌です。4500首ほど集められ全20巻です。現在でもこの和歌を読む日本国民は多い。毎年、年初めに皇居で歌会始め行われ、その発表式に自分の和歌が詠まれたいと宮内庁に自作を郵送してきます。皇居の「歌会始め」がいつから始められたか定かではないが、一番新しい史実は鎌倉時代中期(1267年1月15日)宮中で歌会始が行われています。以来面々と今日まで歌会始を続けているのです。
日本と言う国は、125代目の天皇陛下と2000年という古い歴史を持つ国です。そのため古い文化が沢山あり、遺物として残っているだけでなく、数々の古い文化を続行しているのです。シナは五千年の歴史を持つ国と言われていますが、シナ得意の大嘘です。シナ全体が何百年と外国に度々支配され、現在は建国70年にも満たない新国です。シナには古い建造物はほとんどありません、国民が殆ど薪などに使ってしまうからです。従ってシナの古代遺物品はほとんど地下から出てきます。シナ、北朝鮮、韓国には「老舗」など何もありません。
日本との民度の差があまりにも違い過ぎます。その日本は極東の小さな島国で歴史の古さだけが自慢の国ではありません、現在の科学文明、世界経済を代表する大変重要な国家でもあるのです。生活水準も高く、社会保障制度も整い、江戸時代の武士たちが作った都市、江戸は当時のロンドン、パリを超える世界最大の都市です。その江戸を東京に名前変えました、現在では東京は世界一安全な大都市です。平均寿命も世界最高齢に近いほどの長命国です。ノーベル賞にいたっては、毎年のように受賞する常連国のような状態です。こんな凄い国が、日本以外に世界のどこにあるかというのだ。

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2 comments »

上等兵 より:
2018年8月1日 12:03 AM
すみません・・・調子に乗りすぎてまたまたコメントしてしまいます。
日本のお笑いには、「落語」という金字塔があるじゃないですか!外人はそれを理解せず何いうものぞと。
最近、「落語名人寄席」というCDブック。全10巻あるのですが、2巻まで揃えました。
1巻で10以上の演目が入っており、
三遊亭円生、古今亭志ン生という稀代の名人から、先代の三遊亭円楽や先ほどお亡くなりになった桂歌丸などが演じている落語集ですが、
これが実にオモシロイ!
古典落語というのは、物語もブラックであったり権力者を貶めたりと、もうタブーだらけなんですが、それを名人が演じると、落語というのは究極の話芸ですよ。
CDですので、耳だけで聴いているんですが、なおのこと名人の凄さがわかる。
登場人物が本当に幾人も登場してくるようにきこえてしまうのですが、それをたった一人の落語家が演じているんです。

多分、落語も、江戸の狭い文化でしか「オモシロイ」と思えないような代物なんでしょうけど、それでいいじゃないですか。
私たちは日本人で日本人独自の感性があって、特に私は江戸っ子ですので落語の世界は、本当におかしくて笑ってしまう。
別に世界のお笑いと比較する必要など全くないですよ。私がおもしろけりゃそれでいい。

えんだんじ より:
2018年8月1日 7:36 AM
上等兵さん

いゃぁ、落語の世界がありましたね。すっかり言及するのを忘れていました。落語の世界にも歴史がありますからね。落語の世界を思い出させてくれてありがとうございます。

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