私の天皇論

私の天皇論などという大げさなタイトルをつけましたが、簡単に言えば今皇室が抱えている二つの問題に対する私の意見です。皇室がかかえている二つの問題とは、一つは天皇の男系・女系継承問題であり、二つ目は皇太子殿下と雅子妃殿下がどうも心もとないというのが一般庶民の感覚です。特に雅子妃殿下に対する批判がよく聞かれます。その批判に賛成する人、反対する人が出ています。
1.天皇継承問題。
小林よしのり氏は、今年6月「天皇論」という本を出版した。私も読んだ。すばらしい本であることにまちがいない。ただ一つ私のような保守派にとっての不満は、小林が男系の天皇が望ましいが、女系天皇でもかまわないという女系天皇を認めていることです。左翼が女系天皇推進論者であることはよく知られています。女系天皇を認めて天皇の権威を少しでも落として、いずれは天皇制廃止を目論んでいるからです。特に共産党など、国会が開会する時、天皇陛下が出席し開会のお言葉を述べられますが、このとき、共産党議員は、国会に出席しません。共産党は天皇廃止論者だからです。選挙で共産党に投票する人は、このことを知って投票しているのでしょうか。
私は左翼の連中に天皇の継承は男性でなければ絶対にダメだと説得する気は全くありません。昔はバカなやつのことを左巻きと呼んでいましたが、左翼は文字どおり左巻きのバカだから、私は相手にしません。私が説得したいのは、保守系の若い男女です。保守系の若い男女の間では、現在は男女平等社会、だから女系天皇を認めるべきだという意見の人が多いのではないか。私はその人たちに男子継承者でなければ絶対ダメですよと説得したい。その説得の理由を以下に述べてみました。
日本の初代天皇と言われている神武天皇が即位したと伝えられているのが西暦紀元前660年のことです。西暦はイエスが生まれたとする年を基点としています。それを紀年法と呼んでいます。日本の紀年法は、神武天皇が即位した年を基点にして「皇紀」(こうき)と呼んでいます。日本の紀年法で数えると今年は、西暦紀元前660年プラス現在の西暦2009年で、今年は皇紀2669年になります。
この2669年間男系のみによる世襲で皇位を継承してきました。これを万世一系と呼んでいます。そして男系とは父親が天皇もしくは歴代天皇の血筋ということです。すなわち125代の今上天皇が父親をたどっていくと神武天皇に繋がるというわけです。このおよそ2700年の間に女性天皇が存在しましたが、あくまで繋ぎの天皇でした。すなわち次代の天皇がまだ成長していないため成長するまでの繋ぎの天皇でした。
この2700年間万世一系と呼ばれて男系のみで家系が継がれてきた家系は、世界では天皇家だけです。だから私は、天皇家を世界遺産に登録しろと主張しているのです。現在保守の間でも、特に若い男女の間では現在は男女平等の社会だから女系天皇もやむを得ないという風潮が強いようです。私に言わせれば、2700年も男系で継いできた天皇家に現在は男女平等社会だからと女性が継いでもよいのでしょうかと問いたい。男女平等社会と言っても日本ではたかだか数十年の歴史しかありません。そんなに短い歴史しかもたない男女平等制度を2700年も続けてきた男系制度より優先させてよいものでしょうか。
天皇家は男系が継ぐという制度が2700年も続いたということは、天皇制度の根本は男系が継ぐということで、それが絶対条件であることがわかります。この2700年間私達の先人、何億何千万人の方がたが支持してきたことなのです。私の寿命もあと20年前後でしょう。その時私は、2700年間保ち続けてきた先人たちの仲間入りをすることになります。保守の使命には伝統をできるだけ守るなどがあります。死者への配慮も保守の使命ではないでしょうか。靖国神社へお参りするのも大東亜戦争などで亡くなった人たちへの配慮ではないのですか。私は2700年間も男系で守り通してき何億何千万人という私達の先人達の意思というものをたかだか数十年の歴史かない男女平等より重要視したいし、また重要視しなければいけないと考えています。
また2700年間も続いた男系の家系には、誰にも説明できない無言の権威というものが備わっている事を空気みたいに意識することなく国民は感じ取っているのではないでしょうか。権力と違って権威は一朝一夕に作り出せません。同時にいったん失墜した権威を取り戻すのは至難の技です。2700年続いた男系に今後一人でも女系天皇出現することによって天皇家に対する権威が凋落することもありえるのだ。女系天皇出現で天皇家の権威が凋落することは有り得ませんなどと誰も断定することはできません。左翼はそこを狙っているのだ。
現在、現皇太子殿下の後継者は、悠仁親王様お一人なので男系天皇の存続が心配されていますが、終戦直後にアメリカ占領軍によって宮家が廃絶されてしまいました。その宮家を今すぐにでも復活させれば解決できる問題です。
2.皇太子殿下夫妻への不満
だいぶ前から雅子妃殿下に対する世間の評判があまり芳しくありません。私も私の女房も雅子妃殿下にはなんとなく不満を感じていました。私の先祖も雅子妃殿下の先祖も越後の村上藩5万石に仕えた下級武士でした。だから雅子様が皇太子妃殿下になった時の私の喜びは最高でした。それだけに私は雅子妃殿下に対する失望には大きいのがあります。
昨年、西尾幹二氏が雑誌「Will」に「皇太子様に敢えてご忠告申し上げます」という論文を掲載した。私も読んだし女房も読みました。西尾氏の主張は、皇太子御夫妻に対する私たち一般の人々の不安不満の気持ちを代表するものでした。「Will」での反響は、圧倒的に西尾支持だったと言われています。しかし論文のタイトル「皇太子様に敢えてご忠告申し上げます」というように強烈でしたから当然反対もありました。これを機に色々な人たちの賛否両論が雑誌上で論じられてきました。西尾氏や橋本氏(今生天皇の御学友)などの主張に反対する人たちの論点は、一点につきると思います。すなわち私達庶民は、皇室について一切非難や注文をしてはいけない。黙って眺めているのが一番懸命だという意見です。漫画家、小林よしのり氏の意見もこれと同じです。
「Will」最新の12月号には、西尾氏らに反論する小林よしのり氏の意見が大きくとりあげられています。小林氏はこう書いています。
「反皇太子殿下」の橋本明、西尾幹二、保坂正康の三氏は、おこがましくも「皇太子には人徳がないから『廃太子』して皇統を秋篠宮に譲れ」などと言っていますが、そもそも日本の皇室は「皇道」であり、万世一系の血統にとるもので「徳」には関係ありません。この点で「徳」を基準にするシナの「王道」とは全く違う。(中略)
日本の皇道は、「徳」は初めから皇位継承に関係ありません。今までもいろいろな天皇がいらっしゃいましたが、天皇の血統によって受け継がれるものですから、「次の皇太子はどうも天皇の器ではない。「廃太子」して、別の人間に皇位を譲れ」というのはまるで通用しない。それどころかこの呼びかけは革命を誘導することになります。
こんな馬鹿馬鹿しいことをよくも言ってのけて、よくも雑誌に載せて、よくも賛同する読者いたものだと呆れるしかない。わしの描いた『天皇論』(小学館)が出版されたのは今年の五月末ですが、これ以降はもうくだらない皇室論は出てこないだろうと思っていたのに、とんだ見込み違いでした。」
私は西尾氏や橋本氏の主張に賛同する者です。小林に反論してやろうではないですか。小林は立派な本を書いていますが、どうも時代、現在の時代認識ができていないようだ。私は、小林の「戦争論」を読みました。この本が多くの若者の自虐史観を変えたとい点では、非常に功績が大きいものがあります。私の大東亜戦争論とほとんど同じです。ところが現在のアメリカに対する認識がまるでできていない。反米主義一辺倒です。現在の日本が現状の軍事力で平和を保っているのは、バックにアメリカが控えているぞという暗黙の脅しでもっているようなものだという認識がまるでできてない。だから反米主義一点張りを主張するのだ。私は歴史観では反米主義だが、外交では親米主義で、日米安保条約の積極的推進者です。
皇室についても小林は、時代認識ができていません。小林は徳の問題を持ち出して西尾氏や橋本氏を批判したり、雅子妃殿下をかばったりしていますが、やはり皇室のことについて一般庶民は口を出すなの主張にかわりありません。皇太子ご夫妻に対する小林の発言には、次に述べる二つの時代認識ができていない。
(1)私は、こういうことを言うと小林や皇室絶対論者から猛反撃を覚悟の上で言いますが、いまのような凡庸な皇太子では、日本にとって非常に危険だということです。その説明するために皆さんに明治時代の明治天皇のことを考えてもらいたい。明治天皇が即位されたのが17歳の時です。16歳の時に王政復古の号令と五箇条のご誓文を発した。この年齢では、薩長の重臣達の操り人形意同然だったでしょう。
しかし帝王教育が良かったのでしょうか、誰も認めるすばらしい天皇に成長されました。明治天皇は、明治大帝と呼ばれました。これまでに125人の天皇がおられますが、大帝と呼ばれたのは明治天皇だけです。明治天皇が亡くなられた時には世界中から称賛の記事が書かれ、明治政府はそれをまとめて一冊の本を出版しています。明治政府は、あの難局の時代に明治天皇を押し立てて近代君主国家としてスタートした。したがって日本の行く末がうまくいくかどうかは天皇次第でもあった点が非常に大きい。その時に名君にめぐり合わせたのは、日本国民にとって非常に幸運でした。この時凡庸な君主だったら今の日本はなかったのでしょう。
昭和天皇も立派でした。あの敗戦時昭和天皇の存在が、どれほど日本にとって重要であったか私より先輩の年寄りが一番よく知っているのです。要するに日本が危機状態の時には、すぐれた天皇がいてくれることが非常に重要だということです。今上天皇は、現在75歳、あと寿命も15年前後でしょう。私の予想ではその頃は、あるいは今生天皇が生存中に日本が一番難しい時期に差し掛かってくるだろうと見ています。日本は今危機的状況にあります。それだけ日本の未来が暗いのだ。日本の繁栄は、もうここ数十年ありません。下り坂一方です。国民の意思は団結しておらず、分かり易く言えば、右翼と左翼に真っ二つに二分されています。左翼は中韓二国を取り込んで国内の指導権を完全に握ろうとしています。外国人に参政権を与えようとするのも、左翼が国内の指導権を握ろうとする彼らの一策にすぎません。島国日本では、日本国内の実権を握るために近隣諸国、特に中韓のような外国と組むことは、一番やってはいけない方策ではないのですか。国内が二分すると天皇家がからんでくるのは日本史の常識みたいなものです。そんな時には、凡庸な天皇では困るのです。
(2)小林や皇室絶対視論者は、われわれ国民が皇室についてあれこれ言うなと主張しています。そういう意見は、テレビやラジオや新聞などがない昔であれば有効な意見でしょう。なぜなら天皇陛下ご夫妻や皇太子殿下後妻など皇室の人たちを、一般庶民が見かけることなどめったにないからです。そのため庶民は皇太子が普段はどんな外見なのか、あるいはどんなお人柄か全然わからないからです。
ところが今は違います。テレビの威力は大変大きい。私達庶民はテレビを通して皇室の人たちをしょっちゅうお目にすることができます。また新聞、雑誌などで読むこともできます。
そうすると一般の人々の間に皇室に人々に対する印象度が自然にできあがります。現在一般庶民の間では、美智子妃殿下に対しては厚い敬愛と尊敬の念をいだき、雅子妃殿下に対しては少し不満を抱いています。これはここ何年にもわたってテレビ、ラジオ、新聞などを通して得た印象からきています。その印象から一般庶民がそれぞれの意見を発言するのは、当然の現象でしょう。それを一般庶民は、皇室の人々にあれこれ注文をつけるなというのはおかしいのではないでしょうか。
雅子妃殿下が心に病を抱えられてから、もうゆうに五年以上経つのではないでしょうか。多少良くなっているようだけど全快しない。治療を受けられているのは、たった一人の精神科医だけです。なかなか全快しないのだから、他の医者にも診てもらうとか、あるいは複数の医者に診てもらったらどうかということまで国民は推理できるわけです。皇太子殿下は、雅子妃殿下に医者を変えるか、複数の医者に診てもらったらどうかと妃殿下になぜ言わないのか。あるいは雅子妃殿下が皇太子殿下の忠告に耳をかさないのではないかと庶民は詮索します。だからしょっちゅうテレビでお目にかかれるから庶民として意見が自然に湧いてくるのが当然です。それを皇室のことだから一言も言うなというのはどこかおかしくありませんか。
私には皇太子殿下は、雅子妃殿下に対する指導力が全然ないような気がしてなりません。このような国民の皇室に対する懸念や心配ごとから発する意見を公言してはならないというのは時代錯誤もはなはだしい。今日ほど皇室と一般庶民との間の垣根が払われた時代はありません。それだけに庶民の皇室の人たちへの注文がつけやすくなっているのです。皇室について一般庶民はなにも言うなというなら、昔のように皇室と一般庶民との間に大きな垣根をつくるほかありません。
私の想像では、天皇皇后両陛下は、皇太子を自分の手元で育て上げたのを後悔しているのではないでしょうか。今生天皇は慣習に従って早くから親元を離れ帝王教育が授けられた。これに反して、皇太子殿下はずっと天皇皇后陛下の手元で育てられたのだ。悠仁親王におかれましては、いずれは親元を離れ帝王教育を授けられることを私は国民の一人として希望しています。小林によればこんな意見さえも恐れ多くて発してはならないことなのでしょうか。

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