外国映画でも日本映画でもそうなのですが、大きな賞をもらったからと言って必ずしも良い映画とはかぎりません。数年前ヴェネツィア国際映画祭で受賞したビートタケシ主演の「HANA-BI」、カンヌ映画祭受賞の役所広司主演の「うなぎ」など賞に値する映画ではありませんでした。
今回、アメリカのアカデミー賞をもらった「おくりびと」、確かに賞に値するいい映画ですね。悲しい題材を扱っているにもかかわらず、前半はけっこう笑いもありますし万人受けする良い映画でした。
私はウイークデイに見たせいか、私も含めて老人客がほとんどでした。いずれ皆さん、自分の死に直面するからでしょう。私はこの映画で納棺師という仕事があるのを初めて知りました。私は年寄りですが、いままでに納棺師が携わった葬式に出くわしたことはありません。都会生まれ、都会育ちで貧乏人だったからでしょうか。
今でも地方に行けば随所で納棺師が活躍しているのでしょうか。どなたか知っている人がいたら教えてください。滝田洋二郎監督は、この作品で一躍有名人になりましたが、監督なりたての頃からずっとポルノ映画ばかり作っていた人です。「痴漢女教師」、「痴漢電車」(もっと続けて)、「官能団地」(上つき下つき刺激つき)、「痴漢電車」(ルミ子のお尻)、「OL24時、媚娼女」、などなど合計30本はあります。
ただしこの「おくりびと」の前に「壬生義士伝」という素晴らしい映画を製作しています。新撰組の一隊士の一生を描いたものです。まあ滝田監督というのは、けちをつける気はありませんが、ポルノ映画で活躍していた女優が、ある映画で主演女優賞を獲得して一躍スター女優になったのと似ているとも言えないこともありません。
「悼む人」は、作家、天道荒太氏が書いた小説で、直木賞を受賞し、現在ベストセラーになっています。この本のあらましは、ある青年が、新聞の死亡記事から、事故や事件で人が亡くなった場所を知り、その場で行き「悼む」ことを続けている。「悼む」こととはどういうことか言うと、死亡現場を訪れ、死者をよく知っている人を探しだし、次の三点を聞きだすのです。「死者は誰を愛したか、誰に愛されたか、どんなことで人に感謝されたか」を聞きだして、彼は死者にそのことを語りかけて悼むのです。
新聞の死亡記事を見ると場所を選ばず「悼み」に出かけますから、全国を放浪することになります。彼には両親と一人の妹がいます。彼は会社を辞め、長い「悼み」の旅を続けている間に、彼には極秘にされていた母のガンが末期症状になっていた。妹は、婚約者がいていざ結婚という時に、兄が会社をやめ「悼み」旅行で長期不在、時々警察から両親託に本人確認の電話が入るなどして、兄の行く先不明などが災いして結婚話が流れてしまいます。しかし妹は、すでに身ごもり、一人で生むことを決心します。
本の結末は、彼が自宅に帰る頃には、母は亡くなり、妹には子供が産まれることを暗示して終わっています。とにかくこの本の特徴は、一人の青年が、極度に切り詰めた生活をしながら、自分の親族とは全く関係ない人たちの死に場所をおとずれては、「悼む」行為をし、旅を続けていることです。
「おくりびと」では納棺の儀式が、死者と家族の此の世の別れの儀式であり、また死者の死への旅立ちでもあります。「悼む人」は自分とは全く関係のない人の死を悼む、例え殺されても当然と思われた死者でも、「その人は誰を愛したか、誰に愛されたか、どんなことで人に感謝されえたことがあったか」を探り出して、そのことを死者に伝えて「悼む」行為をする。作者は、人間の死すべてに何らかに意義を認め、無駄な人生というものはないということを主張したかったのでしょう。
映画「おくりびと」や小説「悼む人」に描かれていない死者の世界があります。それは死者への感謝の気持ちです。読者の皆さんには、特に死者に感謝したい特別な人がいるのではないでしょうか。私には特に感謝したい死者がいます。それは母です。終戦直後、父は当時死の病と言われた重症の結核患者でした。自宅を空襲で消失してしまい、貧乏のどん底でした。大変な食糧難だった。今でもはっきり覚えているのは、おやつがわりに新聞紙の切れ端に少し山盛りお砂糖をもらい舌なめずりしていたことです。
母が、「お母さんは、もうお腹いっぱいだから、お前、お母さんの分も食べてもいいよ」。子供の私はその言葉を信じて、母の分までむさぼり食べていたのです。しばらくしてから私は、私に少しでも余計に食べさせようと、自分の食べる分を私にくれていたことを悟りました。その母は、戦後の無理がたたり71歳で早死にしました。私は母の苦労をこの目で見てきただけに、私の母への感謝は言葉ではとても言い表せません。
皆さんにもこういう特別な死者への感謝というものがあると思います。と同時に日本人として特別に感謝しなければならない死者がいます。それは大東亜戦争で国のために戦って死んでいった日本軍人たちです。現在大東亜戦争で靖国神社の祭られているのは、合計2、133,915名の軍人です。
ところが現状の日本では、首相でさえ気軽に靖国神社にお参りできなくなってしまっているのです。なぜか。突然中国と韓国が、日本の首相の靖国参拝に文句をいいだしたからです。その上日本のマスコミや左翼系組織や左翼知識人が便乗して反対を唱えているからです。靖国問題の話をわかりやすく説明するために、大東亜戦争は侵略戦争であるという左翼主義者の主張を、私は100歩も1000歩も譲って同調しましょう。
コロンブスがアメリカ大陸を発見したといわれる1492年以来およそ500年間は、白人国家の有色人種国家への侵略が続いたことは、左翼主義者も当然同意するでしょう。
その侵略期間、白人国家のために闘った白人兵士や、兵士の指導者は、各白人国家に丁重に扱われていますよ。大東亜戦争という侵略戦争をした日本軍兵士や、兵士の指導者が丁重に扱われて当然でないでしょうか。
アメリカは、メキシコに侵略戦争をしかけ、メキシコの領土であった、現在のカリフォルニア州、テキサス州、ネヴァダ州、ユタ州、アリゾナ州を、アメリカの領土にしたのです。カリフォルニア州は、ほぼ日本列島と同じ広さ、テキサス州は、アラスカ州についで二番目の広さを持つ州です。この二つの州だけでも大変広い領土をメキシコからむしりとっているのです。
現在メキシコ政府は、アメリカ大統領に向かって一般兵士が眠っているアーリントンの国立墓地に参拝するなと抗議しているでしょうか。フィリピンは、スペインに侵略されてスペインの植民地になりました。その後スペインは、フィリピンからアメリカに追い払われ、フィリピンは、アメリカの植民地になりました。現在フィリピン政府は、スペイン政府やアメリカ政府にスペイン首相やアメリカ大統領に国立墓地にお参りするなと抗議していますか。
大事な事ですからもう一度主張します。白人国家は、侵略戦争をし続けてきましたが、その実行部隊である一般兵士や指導者は、自国のために戦ってくれたから死後も丁重に扱われています。だから大東亜戦争が例え侵略戦争でもあっても日本軍一般兵士も指導者も死後国が、丁重に扱っても当然ではないのですか。マスコミ、左翼組織、左翼知識人よ、私のこの論理に反論できるものなら反論してみろというのです。
大東亜戦争に参加した日本軍人は、アメリカ兵のようにありあまるほど充分な食料と武器弾薬を与えられて戦ったのではありません。貧乏小国ゆえ乏しい食料、乏しい武器弾薬などあらゆる不足に耐えしのびながら勇戦奮闘したのです。日本の繁栄は彼らのお陰でありまた、人類の世界史にも貢献しているのです。私は死者に向かって感傷的に言っているわけではありません。歴史的に説明ができるのです。それを負けたからと言って戦後即座に足げにしてきたのがあなた方、マスコミ、左翼組織、左翼知識人なのです。
中国や韓国が日本の首相の靖国参拝に文句を言ってきたのは、明らかに内政干渉なのです。ところがこの両国の主張に同調し、参拝しようとする日本の首相に批判するあなた方は、はっきり言って日本人に対する裏切り行為です。何年後か、何十年後か、もし中国が日本侵略を試みることがあったら(可能性は強い)、あなた方は中国の先鋒になり私たちの支配者になることは間違いない。あなた方は、現在間違いなく我々日本人の裏切り者であり国賊なのです。
最後に「おくりびと」の滝田監督や「悼む人」の作者、天童氏は、靖国神社をどう思っているのか想像してみよう。滝田監督53歳、天童氏48歳、二人ともほぼ同年輩、そして日教組の教えにどっぷりひたってきたのです。二人とも靖国神社には無関心でしょう。とくに天童氏の場合はその可能性は強い。なにしろ小説「悼む人」は、自分とはまったく関係のない人の死を「悼む」のが内容だからです。私の場合は、自分とは全く関係のない人の死を「悼む」となると大東亜戦争で亡くなった兵士になるからです。
滝田監督の場合は、恐らく首相の靖国神社参拝反対の立場なのではないでしょうか。なにしろ映画人には左翼が多いいからです。子供向けアニメの王様、あるいはアニメの「国民作家」とまで言われる人気絶頂の宮崎駿は、善良そうな人物に見えるでしょう、しかし彼の内面は危険人物です。共産主義思想から完全に抜け切っていないのだ。自著には共産主義の価値は少しも消えていないとか、朝日新聞には、「日本のやった戦争の処理もあいまいなまま、鉄砲を経済に代えて凶暴な経済成長を成し遂げた」と書いているし、共産党の機関紙、「赤旗」にイラストを無料提供したりしているのです。要注意人物です。いずれアニメにあまりにも偏りすぎた思想を反映するものが登場してくるのではないでしょうか。
私には、自分の肉親が靖国神社に祭られてもいませんし、自分の肉親が戦場で戦死もしていません。それでも首相の靖国神社参拝反対派は、私の敵であり、日本の敵です。絶対に仲良くつきあうことはありません。