最近保守の間で顕著になってきたなと思うのは、保守が完全に二つに分かれてきたなという思いが強くなったことです。特に鮮明になったのは対アメリカ政策です。対アメリカ政策で二つに分かれてきたということは、何かというと、シナの軍事力の強大化とアメリカの軍事力を含めたアメリカ国家全体の弱体化に対して、日本は一日も早く憲法改正、ないしは憲法破棄と新憲法制定し、従軍慰安婦事件では河野の国会で証人喚問したりして国で徹底的に調査して疑いをはらす。南京事件も徹底調査して疑いを晴らして日本国としての結論を出す、同時に日本の軍事力の一大強化、こうしてこれまで日本がアメリカの保護国のような状態から脱して、真の独立国家として日本が対米関係を対等にして軍事協定を結ぶのです。これこそが真正保守の目的なのです。安陪総理は、最初の頃は真正保守派の希望の星のようでした。ところが現在の阿部総理は、すっかりトーンダウンしてこと対米政策に関しては、これまでの自民党総理たちとほとんど変わらなくなりつつあります。
一方アメリカ側にたって考えれば、日本が自主憲法を持ち、軍事力を強化し、完全に一人前の自主独立国家に衣替えするのを100パーセント歓迎するわけにいきません。これまでのようにアメリカの保護国の状態の方が扱いやすいからです。阿部総理がおそらく最初の頃考えたような強力な自主独立国家日本の誕生は、シナも韓国もきらうどころかアメリカさえも単純に同調できない面があるのです。現在ではアメリカ本国からも安陪総理へのブレーキがかけられているのではないでしょうか。それが安陪総理のトーンダウンの理由ではないでしょうか。我々保守が気を付けねばならないのは、キャロライン・ケネディー大使の日本赴任です。彼女は、本当にオバマ大統領選への貢献だけで駐日大使に指名されたのでしょうか。指名目的が他にあるのではないかと勘繰られます。彼女には、ケネディー人気に支えられて、日本の一般庶民に歓迎される超有名人なみの人気がある。彼女の発言もそのため発信力が強い。その人気度をもって彼女は、日本の巨大な自主独立国家誕生にブレーキをかけないだろうか、従軍慰安婦や南京事件などにたいしてアメリカの太平洋戦争史観を堂々と持ち出すか、あるいは適当にぼやかして日本側意見には同調しないのではないかと私は、見ています。皆さんはどう思われているのでしょうか。
我々真正保守は、安倍総理が期待に応えられない首相とわかったら誰を首相にしていいのかわからない状態です。代わりがいないだけにシナ、韓国は、強烈な反阿部政権になり、また米国も反阿部になり、日本をアメリカの保護国のまま抑え込もうとするでしょう。こういうご時世で存在感を増すのが真正保守勢力です。ところが真正保守勢力が少ないときています。圧倒的に多いのが疑似保守勢力です。疑似保守勢力とは、保守を装いながら、実体は保守ではなく、情勢によってどうにでも変わる連中のことです。平成23年度、中学校の教科書採択戦の時、日本には疑似保守勢力が沢山存在することをまざまざとみせつけてくれました。歴史教科書を出版した育鵬社の歴史教科書執筆者が、公然と南京事件はあったことと公言したからです。少なくとも保守陣営では、南京事件はなかったというのが常識になっているのに、わざわざ「南京事件は、あった」と公言しているのです。これに対して育鵬社の歴史教科書を支持した保守知識人は、なに一つ反対することもなく受けいれたのです。日本の保守言われる人たちが南京事件を公認したので、シナ側はさぞかし喜んだでしょう。南京事件否定派の渡部昇一氏は、同じ育鵬社の歴史教科書の監修者の一人になっているのです。櫻井よしこ氏も南京事件否定派だが、育鵬社の歴史教科書の支持者になっているのです。誰ひとりとして、育鵬社の南京事件肯定を激しく批判した知識人はいないのです。さらに驚いたことには、歴史教科書の採択戦が終わり、実際の歴史教科書が多くの人々に手にわたった時には、育鵬社の歴史教科書の中で「つくる会」の歴史教科書の47カ所を盗作していた実態が判明しました。すぐに「つくる会」の執行部は、育鵬社に連絡し、どのようにして解決していくか話し合い解決を要求しました。しかし育鵬社側は、「盗作はしていません」の一点ばりで話し合い解決を拒否しました。
一方、平成23年度の教科書採択戦では、育鵬社は、「つくる会」が作成した歴史教科書の年表が東京書籍の年表を盗作していると公表し、朝日新聞はそれを記事にし、市民団体「子どもと教科書全国ネット21」は、横浜市で記者会見を開き「つくる会」の年表を盗作と発表した。要するに故意か偶然か、育鵬社、朝日新聞、「子どもと教科書ネット21」が三者一体になって「年表流用問題」をとりあげて「つくる会」を非難し、教科書採択戦でネガティブキャンペーンに利用した。その結果採択戦では、「つくる会」壊滅的な打撃をうけました。ところが育鵬社の「つくる会」歴史教科書、47カ所についての盗作には育鵬社、育鵬社支持者の知識人、朝日新聞、「子どもと教科書全国ネット21」は、なに一つ反応しませんでした。そこで「つくる会」執行部は、「つくる会」の総会で育鵬社盗作の実態を世間に公表することに決定したのです。それが平成24年10月25日に自由者から出版された「歴史教科書盗作事件の真実」です。この本は、メディアででもあの朝日新聞でさへベタ記事扱いで、ほとんどとりあげず、育鵬社教科書支持派の保守知識人からは全く相手にされませんでした。
それでは、疑似保守知識人は、育鵬社の南京事件公認の公言や盗作事件をなぜ批判、非難ができなかったのでしょうか。育鵬社はフジテレビの子会社。フジテレビは、フジサンケイグループの統率者です。フジサンケイグループは、産経新聞、月刊誌、保守系の出版社など日本最大の大保守グループです。保守知識人たちは、育鵬社の教科書に反論したら、自分の得には一つもならないことを瞬間にさとっているからです。私はその疑似保守知識人がまだ40、50歳代であれば非難するつもりは全くありません。彼らもこれからもっと稼がねばならないからです。私が強く非難したい疑似保守知識人は、もう功なりとげた年配者の知識人です。こういう時にこそ堂々と非難するのが保守知識人の長老たちの務めではないでしょうか。ここに日本の保守知識人たちの欠陥があります。くわしくは、私が今年の6月15日に総和社から出版した『保守知識人を断罪す。「つくる会」苦闘の歴史』を参照してください。
安倍総理が最初に政権に就いた時、安倍氏は、強力な日本自主独立国家形成を目指しましたと思います。その時の阿部総理のファイブ・ブレーンは、八木秀次氏、岡崎久彦氏、中西輝政氏、屋山太郎氏です。彼らは育鵬社歴史教科書生みの親のようなものです。育鵬社支持者の保守知識人は、ほとんど全員が疑似保守です。彼らは、日本が強力な軍事力を持つ完全な自主独立国家になるより、いままでと同じようにアメリカの保護国となってその中での日米の軍事同盟を続けることを望んでいるのです。アメリカ政府とほとんど同じ感覚なのです。二回目の安倍政権が誕生した時、安倍氏のフアィブ・ブレーンなど話題にならなかったので、彼らとの縁が切れたと私は思っていましたが、八木秀次氏が「教育再生実行委員会」のメンバーの一人に選ばれていますから、安倍氏のまわりには相変わらず疑似保守勢力が多いのでしょう。安倍氏の政策のトーンダウンをとがめても、逆に安倍氏がわから見れば、いくら安倍氏がやる気満々でもまわりに疑似保守勢力ばかりでは、やる気がトーンダウンするのも当然でしょう。いずれにしても日本の本格的自主独立国家再現は、ほとんど望がないのではと思っています。疑似保守陣営の間で珍現象が起きています。南京事件は、なかったのが保守の間での常識です。ところが育鵬社が「南京事件はあった」と公言し、その歴史教科書を支持している疑似保守の人たちは、シナの人たちを喜ばせといて安倍氏が靖国神社を訪問しないのに文句をつけています。自分の言動に何一つ疑問を感じない、あるいは感じていないふりをしている、まさに疑似保守なのです。