書評「えんだんじ・戦後昭和の一匹狼」

上記の本が今年の9月1日に出版されて以来、もう3ヵ月目に入りました。初めての書評を入手しましたので紹介いたします。広島県の読者である井上寳護氏。井上氏は現在「新しい歴史教科書をつくる会」の理事をしておられます。その井上氏が「日本国体学会」の月刊誌「国体文化」の(論壇瞥見)に二つの奇書を紹介しています。その一書が「えんだんじ・戦後昭和の一匹狼」です。彼の承諾を得ましたので全文を引用いたします。
引用開始 
                えんだんじ
「えんだんじのブログ」なるブログ、知るものはよく知るが、知らない者はまったく知らないだらう。漢字で表すと『炎男児』――。男の誇りを固く守り抜き、事しあらば焔の如く燃え上がる男、といふほどの意味合ひらしい。
「えんだんじ」こと鈴木敏明は平成16年、碧天舎といふ版元から『大東亜戦争は、アメリカが悪い』といふ名の、A5版七百三十余頁の大著を出した。自費出版である。タイトルこそ分かり易いものの、無名の市井人が無名の出版社から出す本が、そんなに売れる筈がない。三刷三千部はそれでも健闘した方だらう。だが、彼の本のせいでもなからうが碧天舎は間もなく倒産、本は絶版となる。普通ならたいていここで諦める。
しかし「えんだんじ」は諦めない。どころか、彼は遣り繰り算段してつい最近(本年9月)、
その名もズバリ『えんだんじ』と題する四六版三百六十頁を超える自傳小説を上梓した(文芸社)
定価千六百円、決して安くないこの本を筆者は買った。しかし「戦後昭和の一匹狼」とサブタイトルがついたこの本を、どうしても讀みたかったといふ譯ではない。「えんだんじ」のブログを読む者には、彼が書いた自伝小説なら、大体の中身が想像できるからである。
筆者はこの本を購入したばかりか、公立図書館のリクエストにも出しておいた。図書館は利用者からのリクエストがあると、次回の購入図書の候補リストにそれを入れて検討する。本の内容によほどの問題がない限り希望が通ることが多い。つまりささやかながら、この本の売り上げに寄与したいがためである。しかし、個人的な付き合いもない人のために、なぜそこまで肩入れするのか。
鈴木の前著『大東亜戦争は、アメリカが悪い』は、知る人ぞ知る近来の快著である。「アメリカが悪い」理由のいちいちを、素人とは思へぬ豊富な資料を駆使しつつ縦横無尽に説き盡している。鈴木は学者ではないので、その分言葉がきわめて分かり易い。時にはべらんめぇ調の口語も交じる。抽象的な理屈はほとんどまったく無いから、説得力も抜群だ。そのうえ祖国の来歴に対する深い敬愛の心情が全編に脈打ち、痛快かつ面白い。七百三十頁が一息で讀める本などめったにあるものではない。あの西尾幹二が絶賛したのも頷ける。

しかし、ここで鈴木は考える。なるほど自分が6年がかりで心血を注いだこの本は、一応の成功をみた。しかし当然ながらこの書の読者はすべて日本人である。一体日本人の同意を得たくて俺はこの本書いたのか。さうではあるまい。本当はアメリカ人を始めとする世界中の人々に読んでもらいたいのではないか。日本人が戦った史上最大の戦争の本当の意味を、何とかして世界の人々に知ってもらひたい、そのための苦心だったのではないか――。
思ひたつと矢も楯もたまらなくなるのが鈴木の長所であり、同時に欠点でもあるらしい。なんと彼は自著の英語版を出す決意を固めたのである。
                  相寄る魂
思えば健気な決心ではないか。拠るべき学会も論壇も庇護者ない一介のサラリーマンが、祖国の歴史を弁護する大著を自力で出版し、今度はその英語版まで作らうといふのだ。断っておくが鈴木は決して金持ちではない。むしろその反対で、戦中戦後の貧しい家庭に生まれ育った高卒のありふれた男、病気がちの両親を抱える恵まれない日本人の一人だった。
そんな男がどのやうにして自己の人生を切り開き、並の学者や評論家も及ばぬ大望を懐くにいたったのか。
それを知るには『えんだんじ・戦後昭和の一匹狼』をお読み戴くしかないが、彼はたうとうその志を実現してしまったのである。言葉は悪いが、筆者はつい「虚仮(こけ)の一念」といふ言葉を思い出してしまったほどだ。
その過程には感動的な挿話がある。『大東亜――』の読者の一人が著者の強い願望を知って支援を申し出てくれたのだ。その人は一高・東大出のエリートサラリーマン。さる大手化学会社を勤めあげ役員となって定年退職した。この人物の優れた能力と惜しみなき献身により、翻訳作業は大幅に進歩した。さらに鈴木の経済的窮状を見かねたその人は、資金さえ提供してくれたといふ。「この人なくして事業は成功しなかった」と、鈴木は彼が亡くなった今も感謝と賛辞を惜しまない。
実に世の中は広い。本を熟読してくれたばかりか、著者の悲願を知るやその実現のため援助を申し出、経済的負担まで覚悟して応援する――。そのやうの人が実在するのである。一個の燃える魂に触れて、もう一つの熱い魂が寄り添った奇跡としか言いやうがない。まさしく
「天は自ら助くる者を助け」たのである。
英語版『大東亜――』は”The USA is responsible for The Pacific War”なるタイトルで一昨年8月に世にでた。鈴木は初版三百の大半を在日外国大使館・領事館に寄贈した。これで念願の第一歩をはたした。だが彼の望みはもとよりこれで終わらない。
昨年夏の朝日新聞の訂正と謝罪にもかかわらず、シナ・韓国との「歴史戦」は熾烈さを増す一方である。米国は原爆攻撃の正常化を止めようとはしないし、自国に都合のよい歴史観(東京裁判史観)を改めようともしない。このやうな時、鈴木としては内容に自信のある自著の英語版を、広く海外の要人、メディア、図書館などに普及させたい。しかし、そのためには少なからぬ資金が必要だ。と、ここまで言えば彼が今回の自伝小説を出した目的がお分かりだらう。さう、目的はそのための資金稼ぎなのである。
文芸社の自費出版本。それも世間的に無名な人物の自伝小説が果たして「資金稼ぎ」になるかどうか。常識的には限りなく無謀に近い。しかし「えんだんじ」はそんなことは気にしない。一旦かうと決めたらことの成否は度外視し、自ら信じる道を行く。頼れるところは何もなし。頼れるのは自分だけ。この人物はさうやって生きてきて、今ここにいる。これからもそのやうに生きるに違ひない。
その意気や壮なり。一個の男として断然魅力的である。かって日劇ミュージックホールのトップダンサーに惚れられたのも分かる気がする。今やほとんど見られない侠気(おとこぎ)の固まりのやうな鈴木の本を、我らも応援したくなるではないか。あへて「奇書」として諸賢に紹介する所以である。
引用終了。

井上様、熱いご支援ありがとうございます。感謝感激しております。読者の皆さん、皆さんのご近所に公立の図書館がございましたら、ぜひ購入要求を出してください。お願いいたします。アマゾンのカスタマーレビューには、まだどなたも投稿しておりません。どなたか投稿をよろしくお願いいたします。すでにブログでもお伝えしておりますが、勉誠出版社が和文「大東亜戦争は、アメリカが悪い」を年内に再出版します、また英文版の販売もすることになりました。来週の土曜日(11月14日)に私が池袋で講演いたします。会場では「えんだんじ・戦後昭和の一匹狼」が税抜きの1600円で販売いたします。ぜひご来場ください。お待ちしております。

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4 comments »

奥様 より:
2015年11月7日 9:08 PM
えんだんじさま

来週の講演、頑張ってくださいね。
井上さんから文章もらっていたので、お伝えしようかと思っていたところでした。

えんだんじ より:
2015年11月8日 8:42 PM
奥様さん

ありがとうございます。井上さんは、文章が上手ですね。

諏訪田陽山 拝 より:
2015年12月19日 3:08 PM
鈴木敏明様
  やっと読み終えました。遅くなってすみません。奥様にはご苦労なされましたね。今頃気付いたのですが、
顔の美しさ≠心の美しさ ということです。男は顔の美しさが心の美しさに等しいと思われて、顔の美しさに
惹かれますが、概して顔の美しさ=心の醜さ な感じがいたします。その点、我が細君は顔の残念さ=心の美しさ
のようですので、75歳のいままで辛抱してくれたのだと思っています。
  そうはいっても、勝浦の恵子ちゃんや、島さおりさんは、顔の美しさ=心の美しさ だったかも判りませんね。
貴兄の仕事の内容は、実はよく解りません。一生懸命頑張られた事はよく解ります。ご苦労様でした。英検準1級は
大したもんですね。高卒でというところが輝いております。(中高の英語の教師で準1級以上の保持者は、50%くらい)
  貴兄の筆力には驚嘆します。分量が凄い。歳をとると読書の気力が減退します。この本も、医者に行って、待合
の間に読んでいました。この方法をもっと前に判っていたら、もっと早く読めたものをと思っています。益々のご健
筆を期待しております。なお、最後に少々苦言を呈しておきます。最後のページで、「2015年6月  鈴木敏明」
と書かれており、九仞の功を一簣に虧くとまでは言いませんが、元号の尊重は、貴兄が考えている以上に大切であると
思っています。                                           敬具
    平成27年12月19日(土)
                                              諏訪田陽山 拝

えんだんじ より:
2015年12月20日 6:01 PM
えんだんじ

諏訪田さんの初コメント感激しております。ありがとうございます。
年号に対する苦言、同意同感です。以後気をつけます。

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