保守知識人は、大バカ者の集まりか?(1)

このブログの拡散、転載をよろしくお願いいたします。
(このブログのタイトルにある保守知識人とは、育鵬社、日本教育再生機構、日本会議に群がる名のある知識人のことである。)

私は、「新しい歴史教科書をつくる会」の会員として、「南京虐殺事件」が去年シナ政府によって世界記憶遺産に登録されたことほど癪に障るものなない。私は今から四年前、平成24(2012)年7月7日に「育鵬社歴史教科書支持派の皆様へ」のタイトルでブログを書いた。主要な二つの問題、盗作問題と南京虐殺事件についてです。盗作問題はもう裁判で一応けりがついていますので、ここでは省きます。南京虐殺事件については思い出していただくために、全文を引用させていただきます。
引用開始
「二。南京虐殺事件」
今から2,30年前ぐらいまでは、南京虐殺事件は、日本国内でも「あった派」が優勢であった。「あった派」でもいくらなんでも30万人は大げさだろう、もっと少ないのではという声が圧倒的だった。そこへ秦郁彦氏の4万人説が出て多くの知識人がその説に飛びついた。テレビの田原総一郎氏もその口です。ところが平成10年に南京事件研究者として有名な東中野修道氏が「南京虐殺の検定検証」という本を著した。彼は南京事件がなかったことを証明したのではありません。これが南京虐殺事件の証拠だという物件を全部徹底的に調べあげて、写真などすべての物件はデタラメであること証明したのです。その後も東中野先生や数人の研究者が南京事件の研究を進め、研究の成果や資料の発掘などで現在では、シナやNHKの御用学者や左翼を除いてほとんどが、南京虐殺事件はなかったというのが、少なくとも保守の間では常識になったのです。南京事件研究者は、東中野先生を含めてほとんど歴史の専門家ではありません。私は日本の大学の近現代史学者の怠慢ぶりは刑罰に値すると思っています。平成19年発行の雑誌「WILL」の12月増刊号、『『南京大虐殺』に終止符』が、まさに南京事件のけりをつけたと言っていい。

ところが日本の歴史教科書では、南京事件を容認しないと文科省の検定合格がとれないのです。しかたがないから「つくる会」の歴史教科書は、南京事件については育鵬社の歴史教科書と大体似たような表現になっています。しかし結果として両教科書に同じような文章になるまでの過程には天と地の差があります。「つくる会」は南京事件を否定して書類を提出して、文科省の検定官と論戦しています。文科省の拠り所は、近隣諸国条項や歴史学会の通説などです。昨年の教科書検定の時、「つくる会」はある作戦をたてました。「通州事件」を申請の中に入れたのです。「通州事件」とは日本人一般市民、老若男女が支那人に虐殺された事件です。「つくる会」は、南京事件を否定させてくれたら、この「通州事件」をひっこめるつもりでした。ところがやはり南京事件は否定できず、「通州事件」は認められたのです。戦後の歴史教科書で「通州事件」が記載されたのは、今回が初めてのケースなのです。南京事件を否定しようと戦った結果、いい意味での副作用を生んだのです。

これに反し育鵬社は、違います。育鵬社は、教科書検定前から南京事件を公然と容認していたのです。平成23年の7月20日、南京事件否定派の河村名古屋市長の肝いりのもと名古屋で中学校歴史、公民教科書討論会が開催された。教科書会社で出席したのは自由社(つくる会)と育鵬社だけでした。この時育鵬社の歴史教科書の監修者の一人である石井昌浩氏(元拓殖大学客員教授)は、こう語った。
「南京事件は確かにありました。日本軍によって中国軍人や民間人に多数の死傷者が出ました。これは事実です。ただ犠牲者の数などの実態については、様々な見解があり、今でも論争が続いている。これが育鵬社の南京事件についての記述です。」
皆さん、驚きませんか。自ら保守と称する育鵬社の歴史教科書の監修者の言葉ですよ。名古屋に引き続いて東京でも教科書会社の懇談会の席でも同じような発言をしているのです。
石井氏の冒頭の発言、「南京事件は確かにありました。日本軍によって中国軍人や民間人に多数の死傷者が出ました。これは事実です。」
これはまさに文科省の見解であり、左翼の見解であり、支那の見解です。それと同じ見解を保守が示しているのです。ここで読者にはっきり認識してもらいたいことがあります。「つくる会」の歴史教科書も育鵬社の歴史教科書も南京事件の記載については、ほぼ似ていますが、「つくる会」は、「なかった」説を変えないと検定合格がとれないから文言を変えざるを得なかったということです。いっぽう育鵬社は、「あった派」ですからそのまま変える必要なく文科省に受け入れられたということです。

育鵬社の歴史教科書を支持している方々に聞きたい。こんなこと許されていいのですか。これは我々保守に対する裏切りではないですか。この石井発言に対し育鵬社教科書を支持した保守知識人、がいっせいに反論すると思ったら、ほとんど誰も反論しないのです。何故か?育鵬社のバックにいるフジサンケイグループに気を使っているのです。産経新聞にはコラムもあれば「正論」という月刊誌もある、「正論賞」などという賞もある色々世話になることも多いいし、また世話になるチャンスもある。著名な知識人ですらフジサンケイグループに気をつかって反論できないのです。例をあげましょう。渡部昇一氏と櫻井よしこ氏です。二人とも「南京事件」否定派の強力なメンバーです。渡部氏は、しかも育鵬社歴史教科書の監修者の一人です。育鵬社自身が南京事件肯定派なのに批判できないのです。私は櫻井よしこ氏をかっていました。だから彼女の主宰する「国基研」のメンバーにもなった。「国基研」のあるパーティーでは彼女と名刺交換したいために列を作って並んでいたのを覚えています。彼女の集客力はすごいですよ。「つくる会」の歴史教科書の市販本には彼女の写真が載っています。育鵬社の歴史教科書の市販本にも彼女の写真が載っています。彼女は両教科書の支持者になったのです。私はそれに対して非難はしません。その桜井氏の南京事件に対する考えかたは、育鵬社の「南京事件あった」派とは完全に違います。それでも彼女は育鵬社を表立って批判できないのです。私がここで保守知識人不甲斐なさを責めるのは、南京事件はこれからもシナと論争し続けなければならない重要な外交問題だからです。日本民族の尊厳にかかわる最重要な問題でも、国内でさえ相手によっては非難の舌鋒がゆるむようで、どうしてシナと論戦できるのかと言いたい。結局これは日本人知識人の弱点の現れでしょう。えらそうな事を主張していても結局は権威権力には弱いのです。フジサンケイグループが持つ権威、権力に堂々と反論できる著名な知識人が少なすぎるのです。育鵬社の登場によって南京事件に対する保守の一画がくずれてしまい、ますます日本は不利な体勢においこまれてしまったのだ。育鵬社教科書を支持する方々に私は、はっきり主張します。私も保守、保守同士お互いけんかはしたくはありません。だから大東亜戦争を太平戦争と記載したこと、漢字の支那語読みや朝鮮語読みのルビの問題、私は片目をつぶります。盗作も国内問題、しかし南京事件容認は、これは絶対に許すことはできません。日本人の敵です。それに私は、日本民族の尊厳を救ってくれた東中野先生を初めとする数人の南京事件研究者に感謝の念を抱いています。それゆえに育鵬社の南京事件容認は保守への裏切りであり、日本民族の裏切りでもあります。絶対に許すことはできません。私は育鵬社の教科書支持者から嫌われるでしょう、それも覚悟のうえです。私は、「従軍慰安婦事件」と「南京事件」を日本人であるかどうかの踏み絵にしています。
引用終了

皆さん、この文章読んでどう思われますか。ぜひもう一度この文章を読んで見てください。私は、「南京事件」も「従軍慰安婦事件」と同じように日本の保守人が連携して一体となってシナと戦わなくてはダメだと四年前から思っているのです。一無名な定年サラリーマンの私でも思うのですから保守知識人でも思っているに違いないのです。ところがそこえ、育鵬社の親会社フジテレビの日枝久会長、フジサンケイグループの統率者の登場です。多くの保守知識人が彼にひれ伏したのだ。「南京事件はなかった」派のリーダー的存在の櫻井よしこ氏は、「つくる会」教科書を支持しながら育鵬社の教科書も支持するというへまをしたのだ。同じリーダー的存在の渡部昇一氏は、南京事件を肯定する教科書づくりに参画しているのだ。私は最初、渡部氏は、名前だけ貸しているのではないかと手紙を書きました。渡部氏から次のような回答の葉書をいただきました。
引用開始
拝復
教科書についてお手紙拝見致しました。
その中の小生が『自分は育鵬社の教科書作成に何ら関わっていない』としてありますが、そういうことはありません。また盗作の疑いがありましたら、ぜひ裁判で決着をつけて下さい。
取りあえずご返事まで。                   敬具
平成二十四年三月二十六日     渡部昇一
(氏名は自筆のサイン入りです。)
引用終了

育鵬社には大きな支援団体が二つあります。日本教育再生機構と日本会議です。日本教育再生機構のメンバーの名前をちょっとあげてみましよう。石井浩一郎、小田村四郎、伊藤哲夫、田中英道、中西輝政、屋山太郎、渡部昇一、三浦朱門、石井昌浩、新田均、渡辺利夫、高橋史郎等々そうそうたるメンバーです。小田村四郎氏は、日本会議の副会長、伊藤哲夫氏は、日本会議常任理事。渡部氏がなぜ南京事件を肯定する歴史教科書作りには、参加できないと断ることができなかったのか。やはり参加することによって得することが多かったからです。一方「つくる会」を支援したところで、「つくる会」の母体は全国の私みたいな個人支援。「つくる会」を支援したところで一銭の得にもなりません。私は現在40代、50代の保守知識人になぜ南京事件を肯定する教科書に参加したり、賛成するのかと強く責めることはできません。彼らはお金をかせがねばならない年代の人たちだからです。しかし60代、70代、80代過ぎの保守知識人は、自分の金稼ぎより、国家のことをもっと優先的に考えて行動して当然ではないでしょうか。その点を考えると私たち「つくる会」の会員たちはえらいですよ、自分のことより国家優先ですからね。名のある保守知識人たちは、私たち会員の爪の垢でも煎じて飲めといいたい。

去年、シナが「南京虐殺事件」をユネスコに登録して以来、『「南京大虐殺」の歴史捏造を正す国民会議』や「南京事件の真実を検証する委員会」等の会議が開かれました。私が驚いたのは育鵬社の歴史教科書で南京事件は「あった」を制作している渡部昇一氏が堂々と「南京の真実国民運動」の代表者になり、南京事件否定論者として演説していることです。まさに欺瞞です。育鵬社は歴史教科書で文科省の検定合格取る前から「南京虐殺事件は、あった。」と公認しているのです。そこへ渡部氏は参加して南京事件肯定の歴史教科書作りに関わっているのです。いくら渡部氏が「南京虐殺事件なかった」と主張してもシナ政府は彼の発言をまともに取り上げると思いますか。この彼が保守の重鎮というのだから笑わせるではないか。去年の安倍談話にいたっては、去年10月号の「WILL」では「百点満点だ!」と言う始末です。安倍談話は、東京裁判史観を否定していません。私に言わせれば渡部氏は、安倍談話の「有識者懇談会」に「私も入れてくれ」と遠吠えで叫んでいるようなものです。彼はこれまでに日本の近現代史に関する本を何冊も書いています。彼は上智大学名誉教授で英語の専門家です。英文文献の翻訳ものも沢山だしています。だが不思議なことに彼は、自分の日本の近現代史本の一冊も英語で出版したことがないのだ。一冊ぐらい英文版で出版したところで不思議ではない。英文出版となると読者は日本人ではない。例え作者が渡部昇一氏でも出版社がつかない場合もあり得るでしょう。その時身銭を切ってでも国家のためにすることはできない男なのでしょう。彼は自分が損することは絶対にしないのだ。だから英語の専門家でも国内で大口をたたくだけの内弁慶で海外向けには全く役立たないのだ

日本政府は、ユネスコやシナ政府に抗議しているが、「従軍慰安婦事件」と同じバカの二の舞を演じているのだ。「従軍慰安婦事件」では河野談話で韓国の主張を認め、南京事件では文科省は南京事件を否定する歴史教科書には検定合格を与えないのだ。ということは日本政府も南京事件を認めていることです。南京事件が世界遺産に申請されたとわかった時、菅官房長官は取り下げるようシナ政府に求めるとともに、「過去の一時期における負の遺産をいたずらに強調することは極めて遺憾だ」と述べ、これも南京事件を認めています。しかし「従軍慰安婦事件」では我々保守は一致団結して戦うことができた。しかし「南京事件」は、保守全体で団結して戦うことができないのです。育鵬社、日本教育再生機構、日本会議が南京事件を肯定しているからです。日本会議は、保守としていい仕事をしていますが、南京事件では全く役立たないのです。

大分長いブログになってしまいましたが、以下の三つだけは読者の皆様に伝えておきます。
1.去年は中学校の教科書採択の年でした。私たち「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書は、採択の年の度に、南京虐殺事件を否定して文科省と物議をかもしてきました。しかし去年は、南京事件はあったなどと噓を書くのをやめて、南京虐殺事件を肯定もせず、否定もせず、一切語らずに文科省に提出したところ、文科省の認定許可をとることができました。残りの七社の教科書全部が「南京虐殺事件はあった」と肯定したのです。ところがどうですか、全国の市町村の教育委員会全部が一冊も「つくる会」の歴史教科書を採用しなかったのです。そのため「つくる会」は資金的にピンチに陥ってしまいました。どうか国民の皆様、「つくる会」をつぶさないためにも一人でも多くの方に入会していただくか、資金援助をしていただけませんでしょうか。よろしく、よろしくお願いいたします。
2.胡錦濤国家主席が平成20年に日本訪問した時、「南京事件の真実を検証する会」が胡錦濤国家主席に五つの公開質問状を提出しています。その質問状にシナ政府も日本の南京事件肯定派も未だに答えることができないでいるのです。
3.シナ政府の「南京虐殺事件」がユネスコの世界遺産に登録された以上、南京事件を認めている育鵬社の歴史教科書は、保守系の歴史教科書とは絶対に言えなくなりました。
次回のブログでは、「保守知識人は、大バカ者の集まりか。」(2)を書きます。

このブログの転載、拡散よろしくお願いいたします。

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3 comments »

諏訪田陽山  より:
2016年1月18日 1:28 PM
えんだんじ氏の憂国の情熱に敬意を表します。
  小生は勤めていた私立学校で、扶桑社の高校歴史教科書を採用することしかできませんでした。今はもう止めているかも判りません。だんだん憂国の情熱が薄れてきて・・・
  私は以下のように理解しています。googleの画像で、『我が兵士に護られて野良仕事より部落へかえる日の丸部落の女子供の群』『アサヒグラフ』1937年11月10日号 を検索しますとすぐ出てきます。この平和な風景が南京大虐殺の証拠なんですって。大笑いですね。
  上記の石井昌浩氏(元拓殖大学客員教授)は、こう語った。 「南京事件は確かにありました。日本軍によって中国軍人や民間人に多数の死傷者が出ました。これは事実です。ただ犠牲者の数などの実態については、様々な見解があり、今でも論争が続いている。これが育鵬社の南京事件についての記述です。」
  中国軍人や民間人に多数の死傷者が出ました→戦争をしている訳ですから、中国軍人に死傷者が多数出ることは当たり前です。軍人が捕虜になって、収容されている時、夜間に脱走を図って何百人かが銃殺されたとは、読んだことがあります。銃殺されて当然です。虐殺でもなんでもありません。軍人が軍服を脱いで民間人にまぎれていて摘発され、銃殺されたことも読みました。これも当然です。問題になるのは、民間人、無辜の民を恣意的に虐殺したかどうかが問題です。日本軍は「殺すな、犯すな、焼くな」の軍規が厳正で、もしもバレたら銃殺刑ですから、ほぼなかったと思います。
  ほぼと言いますのは、南京攻略まで生死を懸けて戦った狂気の世界でありますから、バレたら銃殺と判っていても女を犯した兵士がいたかも判りません。今の平時のわが国でも、レイプ事件は後を絶ちませんから。また、私が叔父のことですが、中国戦線で戦った勇士です。彼が死ぬ前に「わしは支那で酷いことをしてきたんじゃが、極楽へ行けるんじゃろうか?」と隣のおばさんに言っていたそうです。何回も一緒に飲んだのですが、私とはそんな話はしなかったです。酷いこととは何を指しているかは判りませんが、「殺すな、犯すな、焼くな」の軍規を破ったのでしょう。だから南京攻略戦で、1人の民間人も殺していないとは断言できません。
  だからと言って、無辜の民を30万人虐殺したことにはなりません。「中国軍人や民間人に多数の死傷者が出ました」って、だから無辜の民を大虐殺したことにはならんのです。

  韓国の従軍慰安婦なんて、戦場慰安婦なんですよね。戦後わが国でもパンパンといわれた慰安婦は多数おられましたが、アメリカに損害賠償を求める人は1人もいませんが、どうなっているんでしょうか? 奴隷狩りに遭ったように捏造して、閻魔大王にどう弁明するつもりでしょうか? その方が心配です。
  

えんだんじ より:
2016年1月19日 5:02 PM
諏訪多さん
私も同感です。

池田俊二 より:
2016年1月20日 7:34 PM
前置に、

〈このブログのタイトルにある保守知識人とは、
①育鵬社②日本教育再生機構③日本會議に群が
る名のある知識人のことである〉

とお書きになつてゐますが、これに④安倍總理
大臣 を加へては如何でせう。

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