今回のブログのタイトルは、タイトルそのものは、前々回のブログのタイトル『「南京大虐殺」ユネスコ記憶遺産登録は、日本政府の失態』とは違いますが、両方とも関連がありますのでその点を留意してお読みださい。
「つくる会」に続いて日本で二社目になる保守系の歴史教科書と公民教科書を公立中学校向けに販売する育鵬社が設立されたのは平成19年8月です。その育鵬社が最初に検定合格した歴史教科書は『新しい日本の歴史』と呼ばれ平成24年度から平成27年度まで使用された。その育鵬社が最初に検定合格した『新しい日本の歴史』は、「つくる会」が作り上げた『新しい歴史教科書』(扶桑社、平成18年度から22年度使用)と多くの部分で酷似した内容と酷似した文章からなるものであった。その一例を見てみましょう。
●『新しい歴史教科書』(平成17年版、「つくる会」)
すでに日本列島には、縄文時代に大陸からイネがもたらされ、畑や自然のみずたまりを用いて小規模な栽培が行われていたが、紀元前4世紀ごろまでには、灌漑用の水路をともなう水田を用いた稲作の技術が九州北部に伝わった。稲作は西日本一帯にもゆっくりと広がり、海づたいに東北地方にまで達した。(24頁)
●『新しい日本の歴史』(平成23年版、育鵬社)
わが国には、すでに縄文時代末期に大陸からイネがもたらされ、畑や自然の湿地で栽培がおこなわれていました。その後、紀元前4世紀ごろまでに、灌漑用の水路をともなう水田での稲作が、大陸や朝鮮半島から九州北部にもたらされると、稲作はしだいに広がり、東北地方にまで達しました。(24頁)
これは酷似のレベルが、デッドコピーと言えるほど酷似しています。この「つくる会」の歴史教科書『新しい歴史教科書』の著作権を有する代表執筆者藤岡信勝氏らが調べてみると上記を含む47ヵ所で氏の著作権を侵害しているのだ。育鵬社は、教科書の中心部分について47ヵ所にもわたって、藤岡氏や西尾氏などの原稿から盗作し、藤岡氏らの著作権を故意に侵害した。この著作権侵害は、10年以下の懲役もしくは千万円以下の罰金かそれらの併科の罪に相当する犯罪行為である(著作権法第119条)。
このような犯罪行為により作成された育鵬社の教科書は平成23年度の採択戦において採択を伸ばし、不当な利益を得ることになった。その結果、「つくる会」の『新しい歴史教科書』は採択を激減させ、自由社の教科書事業は大幅な赤字を計上することになった。しかし、「つくる会」が訴えたいのはこのような経理上の損害だけではありません。次の五つの大きな問題が生じたのです。
一。歴史的な大規模盗作事件
この盗作に関与している人間の数は、少なく見積もっても十人は優に超える。これほど大規模かつ大がかりな盗作は歴史上あまり例がないのではないか。こんなことが許されるならば、どんな盗作もほとんど許されることになろう。
二。国民の教科書への信頼感を破壊した。
日本の教科書に対する歴史的に培われた国民の信頼を傷付け、さらに教科書制度全体を破壊する、重大な犯罪行為であるといっても過言ではない。
三。日本の文化の発展を阻害し法秩序とモラルを破壊する。
他人が真面目につくった教科書から中心部分を丸ごと盗んだ人たちが、何の社会的制裁も受けないならば、今後はどんな盗作行為も許されることになるだろう。それは日本の文化の発展を阻害することにつながる。
四。中韓による知的財産権の侵害を批判できなくなる。
今日、知的財産権をめぐるルールをシナや韓国に守らせるように持って行くことは、日本国にとって死活問題である。
五。保守言論界に泥を塗った。
「日本教育再生機構」に集まり「教科書改善の会」に協力している保守系の知識人は、事情を知らないまま善意で協力したに過ぎないだろう。こんな大規模な盗作事件が、代表的な保守知識人を糾合したと自称する団体によってなされたことの深刻さは、計り知れない。
フジサンケイグループという保守言論界出版物の雄と言うべき企業が発行する教科書というだけで盲目的に支持しているだけなのだ。それによって責任の所在と責任の取り方をあいまいにしているのだ。
これらの大事な事情にもかかわらず、「つくる会」はすぐに裁判に訴えることもなく育鵬社や八木氏らの言論人に対して、一年余りも粘り強く盗作に関する謝罪を求め続けてきた。裁判による解決ではなく、育鵬社らによる自発的な謝罪によって問題を解決したかったからです。謝罪要求は無視され続け、ようやく平成25年になって、「つくる会」側と育鵬社との間で話し合いがもたれたが、交渉は不調に終わった。同年4月、裁判の場に問題の解決が移された。
ここまで書いて来たのは、「つくる会」の理事で公民教科書執筆者、小山常実著、「歴史教科書と著作権(育鵬社歴史教科書事件判決を批判する)三恵社、3,400円+税、平成28」のごく前半の部分を要約したものです。この本では裁判の様子が詳細に書かれています。いずれにしても裁判の結果は、「つくる会」側が負けたのです。判決の理由は、簡単に分かり易く説明すれば歴史教科書などは、著作権は必要ないというのだ。こんな馬鹿げた判決理由がどこにあるかというのです。私は著者の小山常実氏は、この判決に怒りを感じているのだと思います。だから裁判の様子を非常に詳細に書いています。本の頁数も340頁、値段も3,400円+税です。読むのも買うのもなかなか大変です。ですから皆さん、自分の住所付近の公立図書館にこの本を常備させていただけませんでしょうか。
著者の小山常実氏は、この本のあとがきの最後にこう結んでいます。引用開始
「特に二審判決が歴史教科書の著作権を原理的に否定したことである。今後は、少なくとも単元本文については、他社教科書をコピー&ペーストして作った教科書も完全に合法となる。歴史教科書の世界は盗作教科書で溢れかえることになるかもしれない。生徒に模範を示すべき教科書が盗作で溢れるようになるかもしれないということは、何ともブラックな状態であり、見たくない事態である。そんな状態にしないためにも、育鵬社歴史教科書事件判決に対する批判を社会に広める必要があると考えるものである。」引用終了
実は私も、歴史教科書には著作権などないという判決には怒りを感じた。いずれは自分のブログにも書かなければと思っていた。しかし私は、毎月二回ブログを書いたり、本を書いたり、読書などで結構忙しい。たまたま小説書きに夢中になっていて、この著作権の問題を忘れてしまっていた。しかし今回、ピョンチャンオリンピックのことでこの著作権の問題を思い出したのだ。北海道北見市の女子カーリングチームが試合の休憩中(もぐもぐタイム)に韓国製のイチゴを食べていた。このイチゴは、もともと日本製なのだ。いつのまにか韓国が製作方法を盗み出し勝手に作っていたのだ。マスカットという果物もがありますが、これもシナのある地方で日本メーカーからの制作許可をとらずに自分たちで勝手に作り出していてシナ人自慢の作品にしているのだ。農協とかJTなどが農家に著作権を取るよう指導するのが仕事でしょう。歴史教科書の著作権と農産物の著作権とは質が違いますが著作権の意図は同じです。歴史教科書など著作権などないという判決自体がおかしいのだ。こういう判決は、法律論より時流時勢に左右されやすいのだ。思えば20年前「つくる会」が設立されたとき、朝日新聞を筆頭とするマスコミ関係、日教組を主体とする教育界、野党連合ばかりでなく自民党政府の一部、極左翼団体、韓国、シナまでが「つくる会」に猛反発した。その頃は外国人たちが大東亜戦争関係で日本政府や日本企業を訴えれば裁判に勝って金になる、すなわち「司法が日本を亡ぼす」とまで言われていた。
そこえ「つくる会」が誕生した。誕生以来20年間、「つくる会」の教科書は全国の公立中学校で採用される率は極端に少ない。しかし「つくる会」効果はあがった。それが証拠に歴史上の嘘をついて日本を貶める教科書はなくなってきた。ところが最近、またぞろ古い歴史教科書が復活した。平成28年度から使用されている窓社の歴史教科書だ。日本共産党系の歴史教育者協議会のメンバーである元教員や現職者の教師が作った歴史教科書。この教科書が有名国立中学校5校、有名私立中学校30校以上が採用しているのだ。「つくる会」の誕生以来無くなった「従軍慰安婦事件」を復活させ、「南京虐殺事件」を詳細に語り、旧日本軍の蛮行行為を強調しているのだ。その上裁判では相変わらず、「歴史教科書の著作権は、必要ない」などの「司法が日本を亡ぼす」のような判決が出ているのだ。
私は「つくる会」の会員です。「つくる会」は、日本の大会社からの献金は一銭もありません。全部国民から自発的献金だけに支えられているのです。日本企業が「つくる会」に献金すると、韓国やシナに輸出できなくなると言われているのだ。このままだと「つくる会」の先行きも心配です。トランプはアメリカファーストです。ヨーロッパも各国独自のファーストです。ロシアもシナも自国ファーストです。どうして日本政府も「日本ファースト」と主張して軍事力強化、現憲法破棄、新憲法成立を叫ばないのであろうか。安倍総理は議員時代には「つくる会」を大っぴらに支援してくれたが総理になったらこわくなったのでしょう。結局は育鵬社支持にまわった。二世議員のなれのはてだ。日本ファーストと叫ぶ政治家が誕生しないのだ。現在の日本民族は、ここまで劣化してしまったのだ。もう二と度日本は立ち上がれない国になったのかもしれない。一度経済発展したら、「お花畑」の様な事を言って世界の現実、日本の現実を見ようともしないのだ。どうしても日米同盟を堅持し、「日本フアースト」と力強く主張する政治家を誕生させよう。さもないと「つくる会」のジリ貧が続くだけです。
参考文献:小山常実著「歴史教科書と著作権」(育鵬社歴史教科書事件判決を批判する)
三恵社 3,400円+税 平成28年