バラク・オバマと日本

今度のアメリカ大統領選挙では、アメリカ国民は間違った選択をしたと私は考えています。
その理由は、アメリカという国家が、徐々に落ち目になっていたところ、最近の金融危機でアメリカの落ち目が加速したことは確かだからです。
アメリカが最大の危機に直面している時、なにもかも全く未知数のオバマを選んだことに不安を感じるからです。事実、オバマ大統領決定日のニューヨーク株式市場は大幅に下げた。日本のメディアが偏向しているのはもう当たり前だが、アメリカのメディアも日本に劣らず偏向していることをこの大統領選でわかりました。徹底してオバマひいきだったのです。
ある雑誌だか新聞かでアメリカのメデイァが偏向しているかどうかアメリカ人にアンケート調査したところ、「偏向している」と答えたのが60パーセントだったというのです。そこで私は、この選挙ではアメリカ国民は多少とも論理的に投票するかと思っていました。アメリカ国民もバカだということがはっきりわかりました。
民主主義というのは所詮衆寓政治なんですね。もっともそれだけアメリカ国民は、経済危機にショックを受けたため、未知数のオバマに自分たちの想像をふくらませたのでしょう。戦前「未知数の魅力」で大人気で首相になった近衛文麿を思いだします。
私は、オバマ大統領の時代には、アメリカの落ち目がさらに加速するような気がしてなりません。ブッシュ大統領の外交が、アメリカ一国主義との批判を内外から浴びているので、オバマは、諸主要国との話し合い、協調を強調しています。落ち目の目立つアメリカの要求を話し合いでアメリカの言うことを聞いてくれるでしょうか。
アメリカの落ち目を理解しているからこそマケインは、民主主義国家同士の連合あるいは同盟を作ろうと考えたのです。今の国連は、独立国とはいえ一人前になっていない独立国や、わけのわからない独裁国家など、私にいわせれば有象無象の国が多すぎて、国連の機能が阻害されています。そのくせ先進国と同じように一票を持っているのです。国連改革や日本の常任理事国入りなども彼らのご機嫌をうかがわなければならないような状態です。
私はこの経済危機を乗り切るには、民主主義国家同士が同盟を組んで立ち向かった方が賢明だと考えています。合意もとりつけやすいからです。オバマがアメリカの経済危機をのりきるには、この民主主義国家の協力がかかせません。このことは必然日本重視になります。
日本はこのオバマ政権とどう対応していくのか。日本にとって、ご存知だと思いますが、アメリカと言う国は二つのアメリカがあります。一つは共和党政権のアメリカともう一つは民主党政権のアメリカです。共和党政権のアメリカと民主党政権のアメリカの違いは、共和党政権は、親日、日本重視に対して民主党政権は、反日、日本軽視です。
昔をたどれば、大東亜戦争勃発時のルーズベルト大統領は民主党、最近では1990年代のクリントン大統領です。クリントン時代は、私はまだ現役でしたから、クリントンの日本企業いじめには腹が立ったものです。クリントン一家が中国訪問の時、同盟国の日本に立ち寄らなかったといってJapan Passing(ジャパン パッシング)という言葉さえ生まれました。
この両党の対日政策には伝統的に違う面があるので日本政府は、はたしてオバマ政権は日本にたいしてどう対応してくるのか、日本重視より中国重視を鮮明にしてくるのではないかと疑心暗鬼になっているような状態です。私は、民主党政権では、さらに中国重視に姿勢が強まると見ています。そこでここは一度これまでの日米同盟を大幅な見直す必要があります。
日米同盟を廃棄せよとは言っていません、親米主義で結構です。しかしこれまでの日米同盟は、アルコール依存症のように対米依存症という慢性病も同然です。特に軍事、外交は完全に日本はアメリカの保護国です。なにもかもアメリカに追随。例えば、「従軍慰安婦決議」、あるいは北朝鮮のテロリスト国家の指定排除など、日本政府は何故強くアメリカに抗議しなかったのでしょうか。
いつの間に日米同盟が、対等同盟どころか対米依存症になりアメリカの保護国化していったのか。その主な理由は二つあると思っています。
(1) 政治家、外交官に国の名誉を守るため、あるいは国の威信を保つために戦う、要
するに国のために戦うなどという気構えが微塵もないのだ。そのために日米間に問題があっても絶えず穏便に済ませることばかり考えるのです。徹底的に論じ合うことを避けるのです。私は歴代の日本の駐米大使は、なにをやっていたのだといいたい。
(2)日本民族特有の「長い物に巻かれろ」、自分の主張がなく強者に、あるいは時勢に迎
合する、自分の主張をつらぬくよりもいつも妥協することを重んじる国民性。同盟を結ぶとどうしてもべったりした関係を持ちたがるのです。同盟とは、義兄弟の契りを結んだ永遠のつきあいとは違うのです。同盟とは、お互いに同盟を結んだ方が得だと考えた有効期限付きつきあいなのです。有効期限中に相手がもう同盟など必要ないと思ったら、有効期限中でも同盟をかってに破棄される恐れもあるのが同盟です。
オバマ政権は、間違いなく中国重視を鮮明にしてくるでしょう。しかし日本はうろたえる必要もなければそれほど心配する必要ありません。現在アメリカは完全に落ち目です。アメリカは日本を必要としています。だからアメリカから日米同盟を自分勝手に破棄することなど絶対にありえません。オバマは経済危機打開のため財政赤字を減らそうとします。
そのため対外援助と軍事費を大幅に減らすでしょう。アメリカ軍の日本基地駐留コストは、ほとんど日本が払っているのです。日本の基地を離れて本国に帰ったらその費用は、当然アメリカが払うことになります。もうアメリカにはそんな余裕ありません。日本はアメリカの兵力維持に貢献しているのです。
このアメリカの落ち目をねらって、日米同盟を堅持しつつ、日本有利に運ぶのです。そしていままでの対米依存症を払拭し、真の対等パートナーとしての地位をアメリカにがっちりと印象付けることです。
皆さん、現在日本は、どのくらいのお金をアメリカに預けっぱなしになっているかご存知ですか。自分のお金なのだけれど、銀行に預けっぱなしでおろしたくてもおろせないお金です。
日銀所有の推定860トンの金、財務省保有の推定8,000億ドルの米国債の証券がいずれもアメリカFRB(連邦準備制度理事会)やアメリカの金融機関が預かって金庫にしまってあるのです。しかも利息は日本に実際に支払われず、利息分は債券に加算されているだけの可能性が高いのです。
橋本龍太郎が首相の時、「米国債を売りたい衝動に駆られる時がある」と言って物議をかもしたことがあります。こんなに日本は米国債抱えていて売るに売れない。いま米国債を売ったらドル売り、円買い、債券暴落となって売れません。せめて860トンの金だけでも日本にもどすべきです。国会はこんな大事なこと論議しようとしないのだ。野党は、インド洋の石油補給活動中止より、この点をついたらどうなのだ。
オバマが大統領になれば、経済危機打開のためにいくらでもお金をほしい。恐らく米国債を発行し、その一部を日本に買うようせまるでしょう。日本は絶対に買ってはなりません。もうこれ以上米国債を増やす必要はまったくありません。日本経済がつぶれてアメリカ経済が生き延びては困ります。アメリカ経済がつぶれて日本経済もつぶれるなら相打ちを覚悟で交渉すべきです。
そのくらいの気概をもって日米同盟関係を保ちながら、アメリカの弱みを巧みについて日本有利に導くことです。
日本国内では、親米派はアメリカにべったり、親中派は中国にべったり、の発想しかないのだ。米中を手玉に取るにはどうしたらいいか、このくらいの発想を持って外交に取り組めといいたい。可能性のない話をしているのではありません。実現性のある話なのです。要はそういう気構えを持てというのです。
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2 comments »

ソード より:
2008年11月16日 5:18 PM
えんだんじさん、こんにちは。
現在の「金融危機」を契機にして、アメリカが「実業」(モノ作り)への回帰の必要性を認めるなら、アメリカの対中貿易赤字が増え続けている現在では、民主党の対中政策および対日政策は変わってくるのかなとも思います。
民主党の反日政策は、単に経済だけの問題でもないとも思えますので、よくわかりません。
しかし、アメリカ大統領は、誰が選んでいるのでしょうかね。私は、無名の政治家が、突如として大統領に選出されてしまうプロセスとその背景にとても興味があります。

えんだんじ より:
2008年11月17日 8:40 AM
ソードさん、コメントありがとうございます。
アメリカの物づくりの復帰はむずかしいでしょうね。人件費が中国より安くなるなら話は別ですけど。

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