オバマ大統領誕生後のアメリカや世界については専門家たちが色々語ってくれていますので、そこでちょっと違った面からオバマを観察してみました。人間には、自分ではどうしようもない運、不運というものがあるということはどなたでも思うことでしょう。
そういう観点からオバマ47歳のこれまでの人生を眺めると、本人とって一番つらい経験は、彼が10歳の時に両親が離婚したことでしょう。この離婚とて二組の夫婦のうち一組は離婚するアメリカにおいては日常茶飯事でめずらしくもなくさして苦労にもならない話です。
従ってオバマの人生は大体においてすべて順調だったことです。子供の頃黒人特有の極貧状態を経験しているわけでもありません。それどころか非常に裕福に暮らしています。83年にコロンビア大学卒業後社会活動に参加、90年にハーバード大学法科大学院に入学。卒業後は人権派弁護士として活躍、2004年に連邦上院議員に当選。一期四年だけです。決して苦学力行型の人間ではありません。ニクソン元大統領の苦学力行は有名です。
オバマは、民主党大統領候補の本命と目されたヒラリーを破り、今度はマケインを破った。大統領選挙中にオバマ陣営を一挙に有利に導いたのが、9月半ばから津波のように襲った米国の金融危機です。戦争はすべての人に災難をもたらすものでもありません。戦争がある人には幸運をあたえることもあります。この度の金融危機で多くの人が損失を出し、ウォール街では十万単位の人々が職を失った。それがオバマに幸運をもたらしたことは否定できません。
さらに幸運をもたらしたのが、ほとんどのメディアがオバマ贔屓一色だったことです。新聞、テレビ、ラジオなどの論調の90パーセントはオバマ支持だったといわれています。オバマの資質にはすばらしいものがあるのでしょうが、しかし彼の強運さはすごいといわざるをえません。
ブッシュの政策がアメリカ国内で批判を浴びていたことは確かです。そのためブッシュの支持率も非常に低迷いしていました。それでもなぜメディアがあれほどまでにオバマを推したか。私はひょっとしてオバマが黒人だったから優位にたったのではないかと疑っています。アメリカの歴史は、アメリカインディアンから土地を奪い、黒人を奴隷にしてこき使いながら発展してきた事実があります。
そのため黒人への贖罪意識もあってアメリカのメディアは、オバマを徹底的に非難できなかったのではないでしょうか。もし徹底的に非難したら人種差別主義者とオバマ支持者からあるいは世界から非難が出たでしょう。そのためオバマを支持した方が、かえって自分たちは人種差別主義者でないことを証明したようでメディアには好都合だったのではないでしょうか。私には、アメリカのメディアから人種差別主義が一掃されたなどとは思っていません。
黒人の有権者は、オバマでなくても黒人の大統領候補なら誰でも熱狂的に支持したでしょう。こんな事いえるのも巷の白人たちの間だけで、メディアでは堂々と言えなかったのではないでしょうか。オバマは黒人の有権者の全票を獲得した事でしょう。
オバマの経歴にはいくつかの暗部があります。例えば、彼は上院議員一期四年しかやっていないのにすでに汚職政治家のレッテルをはられていた。また上院選挙時に愛人問題もあった。しかしメディアは、彼の暗部何一つ追及していません。オバマは稀に見る強運のめぐりあわせのもとに大統領になったのです。
若い時にそれえほど苦労することもなくそれでいて大強運にみまわれると、その強運が長続きしないことが多いいのではないでしょうか。また強運の反動にも怖いものがあります。
その例をケネディー元大統領にあげて見ると、彼は生まれた時は、大資産家の次男。なにも苦労することもなく大学を出た。彼が働い
たたった一つの経験が、大東亜戦争時に海軍に入隊したことでした。
若いアメリカ人男子ほぼ全員ほぼ入隊ですから彼の試練でもなんでもありません。除隊後どこにも勤めることもなく議院の当選。そして親父のお金で大統領選に出馬。当選。ケネディーの人気もすごかったが、ジャクリーン夫人も若いし、きれいだし人気がすごかった。大統領在職中、ケネディーとマリリン・モンローとの関係が暴露された。
その時私は自分の人生とケネディーの人生とを重ねあわせた。理由はその時私は猛烈なマリリン・モンローファンだったからです。モンローの出演映画はすべて見ていたし、現在でもモンロー出演映画のビデオをほとんど持っています。そのくらい私は大変なモンローファンでした。そこでその時私はこう考えたのです。
「俺は子供の時には食うや食わずの極貧状態、やっとの思いで高校を卒後、就職してから苦労の連続、一方ケネディは資産家の息子何一つ苦労する事もなく、一流大学を出、議員になり親父の金で大統領になり、美しい妻もいる。そのうえ世界の大女優、俺の大好きなモンローとベッドを共にしているのだ。俺の人生と比べてあまりにも不公平じゃないか」と、その時の俺は、ケネディーに嫉妬を感じたし、うらやましいと思ったり、癪に障る男でもあった。
そのケディーが大統領任期を全うしないうちにあっさりと暗殺されてしまった。私は現在自分がまがりなりにも幸せだなと思っているせいもあるのか、人生というのは、例外もあるけどけっこうつりあいが取れているのではないかと考えています。若い時があまりにも恵まれすぎているとそれが晩年まで長つづきしないのではないか、強運の反動もありえるのではないかと、それにひきかえ若い時苦労しても地道に努力していればある程度は晩年に報われるのではないかと。
話は余談になりますが、ケネディー死後、ケネディーの女たらしがある程度公表されています。近年公開されたFBIのファイルによるとケネディーは、短い大統領任期中32人の女性と関係を持ったというのです。
その中に有名な二人の女性がいます。一人はマリリン・モンロー、もう一人は女優の卵のジュディス・キャンベルです。なぜ彼女が有名かというとキャンベルは、シカゴマフィアのボス、サム・ジアンカーナのガールフレンドだったからです。サム・ジアンカーナは、自分のガールフレンドがケネディー大統領と関係を持っていることを知っていました。ケネディーは危険な情事にはまっていたのです。
資産家の息子として生まれ、軍隊に入隊した以外働いたことのない男が大統領になり、当選後はお気に入りの女にはすぐ手をだす。大統領選挙戦の相手は、苦学力行型のニクソンです。これでは人生あまりにも不公平とニクソンは思ったにちがいない。私もそう思いました。そのケネディーは、大統領任期中に暗殺されてしまいました。ケネディー暗殺後、弟のロバート・ケネデイー司法長官も、マリリン・モンローと関係を持ちました。その弟も暗殺されてしまいました。この二人の兄弟の暗殺には、いくつかの背景が語られています。しかし二人に共通の暗殺原因があります。
それは「親の因果が子に報い」だと私は思っています。ケネディー大統領の父は、禁酒法時代、密造酒の販売で財をなしたことで有名です。無論マフィアとの関連もありました。
「親の因果」など日本の警句を持ち出しているが、それと同じ意味の英語があるのか、という質問が出るのではと思い、調べておきました。全く同じ意味の英語表現があるのです。英語では、「The sins of the father are visited upon the sons.」
旧約聖書からきた言葉と言われています。ケネディー兄弟の暗殺は、この警句を地で行っています。「親の因果が子に報い」などと爺くさいことをと、言う人がいるかもしれません。しかし東西両極端には離れた民族、また極端に異なる文化を持つ民族になにか宗教がかった同じ警句があるということは大変興味深いものがあります。
話をバラク・オバマにもどしましょう。オバマも大変な強運の持ち主です。若い時それほど苦労せず、行政の実績何一つなく、メディアの全面的な支持を得、選挙戦中には金融危機がおこり、形勢が一挙に有利になり当選してしまいました。オバマは雄弁家だと言われています。自己主張の弱い日本では雄弁家といわれてもそれほど重要視されないでしょう。雄弁家すなわち舌先三寸でちょろまかしのイメイジの方が強いのではないでしょうか。
私も雄弁家はあまりかってはいません。しかしアメリカ人にとっては雄弁家というのは強力な武器で、聴衆者を催眠術にかける威力があるような気さえします。Change, Change, Changeと言うけど何をChangeするのか具体性がないくせに、聴衆はYes, we can.,Yes, we can.とまるで放心状態のように応答するのです。アメリカ人は雄弁家が好きなんですね。ヒトラーも雄弁家で有名でした。
要するに私はオバマの強運さを取り越し苦労のように心配しているのです。もう一つ心配していることがあります。オバマの父親はいまどうしているかです。死んだとは聞いていません。あるいはもう死んでいるのかもしれません。母国のケニアに帰ったとは聞いているが、父親の出身地がテレビに映りだされたとき、父親について語られることもなかった。アメリカの大統領候補にでもなるとメディアが候補の過去を徹底して調べ上げることは有名です。しかし今回メディアは、オバマの父親についてほとんどなにも報じていません。
なにか隠しているのではないかと私は疑っています。何故なら今回の選挙ではアメリカのメディアは、オバマ贔屓だったからです。バラク・オバマのミドルネームはフセインです。フセインという名前はアメリカで嫌われています。マケイン陣営が、フセインの名前を持ち出したとき、メディアはあまりにも偏見に満ちているとして蓋をしてしまい二度とフセインというミドルネームが話題になりませんでした。
このため日本でもバラク・オバマのミドルネームがフセインであることがあまり知られていません。メディアによって何も語られることのない理由は、オバマの父親には選挙戦で不利になる汚点があったのではないかと思っています。汚点があると私は、「親の因果が子に報い」ということを心配しなければならなくなります。
何も「親の因果」を心配しなくても、オバマには暗殺される可能性が非常に大きいと思います。勿論黒人だからです。選挙戦後半からオバマの警護が強化されています。大統領選挙では、州総取り方式ですのでオバマ圧勝の印象をあたえますが、総投票数は一億一千万票あまり、そのうちマケインが獲得したのが46パーセントです。
下馬評のわりにはマケインの善戦です。それだけオバマではいやだという人も多いいのです。アメリカには白人の人種差別主義者は健在です。オバマ大統領の経済政策の効果がなかなか上がらず、不況が続き、オバマへの期待に絶望感を感じるようだと貧乏白人の怒りを買い、暗殺される可能性が高くなるでしょう。
要するに私の話を要約すると、次の三つです。
(1)オバマは強運すぎる、その強運の反動はないのか。
(2)オバマの父は「親の因果が子に報い」のようなあこぎなことをしなかったか。
(3)オバマへの期待が期待はずれに終わり、不況が長引き人種差別主義者の貧乏白人に暗殺される可能性があるのではないか。
政治評論をメシの種にしている専門の政治評論家は、こんな素人のような主張しないでしょう。しかし私は素人の無名作家、オバマへのかってな取り越し苦労のネタを披露してみました。
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2 comments »
ソード より:
2008年11月24日 9:04 AM
えんだんじさん、こんにちは。
一般紙などの報道を見るかぎりでは、オバマがどのような人物なのかよくわかりませんね。人物だけでなく、具体的な政策もよくわかりません。次期政権の人事に関するニュースをたまに見ますが、これからすると「何やるのかまだ決めてない」のかなと思ってしまいす。もちろん、アメリカ国民は理解しているとは思いますが。
変化の期待と象徴としての大統領候補であり、次期大統領ということのようにも思います。アメリカ国民はそれを願ったのでしょうが、もしオバマが白人だったら大統領になれたのかなあ、なんて思っちゃったりもします。
以前のコメントにも書きましたが、実績が少ない人物が、結構、大統領になっているんですよね。しかも、政策決定はシンクタンクが中心となって進められますから、アメリカの民主主義ってちょっと怖いなあと思います。
えんだんじ より:
2008年11月24日 11:31 AM
ソードさん
コメントありがとうございます。
今度の大統領選は色々な面で異常ですね。これほど未知数な男が大統領に選ばれたこと、メディアの90パーセントがオバマ支持、名の通った反対メディアは、ウォール ストリート一紙、まさにソードさんの言われるように、オバマが白人だったら選ばれなかったでしょう。