教育委員会関係者の最大の罪

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教科書出版会社は、検定中の教科書を教員などの部外者に見せることは禁じられているのに、わざわざ見せてその上、教員らに謝礼金を渡していたことが大きな記事になって産経新聞(平成28年1月23日)にとりあげられていた。記事の見出しは、「教科書12社が検定中開示、10社、4000人に謝礼」。平成28年4月1日の産経新聞では文科省の調査の結果が公表された。記事の見出しは、「教科書謝礼 教職員延べ3454人、4人に1人 採択関係者。」
ここに書いてある「採択関係者」とは四年毎にどの出版社の教科書を使うか決める教育委員会の人たちのことです。私の地元、神奈川県教育委員会の3月14日の記者会見発表によると、教科書出版会社による謝礼金問題で金品(謝礼、交通費等)受け取り者、人数ランキングでは神奈川県は、大阪府に次いでワースト四位であることを発表した。
1位:北海道 教職員 489人、そのうち教科書採択関係者 116人
2位:東京都  “  399人      ”        不明
3位:大阪府  “  380人      ”        不明
4位:神奈川県 “  223人      ”        25人

この報道を知ると「つくる会」、神奈川支部会員の若林さん(鎌倉市在住)は神奈川県黒岩祐治知事宛てに次のような葉書を出しています。
前略
神奈川県は大阪府に次いでワースト四位です。
教科書会社が検定中の教科書を教職員らに見せて意見を聞き、謝礼を渡していた問題で、
県内教職員223人(内金品受取者209人)を調査。
その打ち25人もが教科書採択に関与しうる立場にあった。これら教職員は規範(違反)意識が微塵も無い。ワイロを平気で受け取った。
子供達(生徒)にどの面して教室に立つのか。この件を重大問題として対処して下さい。
平成28年4月19日     草々
これと同じような葉書を神奈川県教育委員会桐谷次郎教育長、神奈川県警察本部警察本部長、自民党神奈川県議会議員団にも、県議員団長にも郵送しています。

一方、つくる会本部、「新しい歴史教科書をつくる会」は、3月7日、一連の検定中教科書「贈収賄」事案について東京地検特捜部に該当する教科書会社10社の社長を「贈賄」の罪で刑事告発するとともに、文科大臣に刑事告発の報告と併せて下記の申し入れを行い、その後記者会見を行った。申し入れ及び記者会見には高池勝彦会長以下5人の幹部が出席し、各々よりこの問題の重大性を説明した。
文部科学大臣                         平成28年3月7日
馳 浩 様
                      (一社)新しい歴史教科書をつくる会
                               会長 高池 勝彦
        検定中教科書「贈収賄」事案についての要望

この度、教科書発行各社が検定中教科書を教員らに見せ、金品などを謝礼に渡していた事実が明らかになりました。文科省は各社からの報告を公表し、さらに実際の教科書選定・採択への影響の有無を、全国都道府県教育委員会に3月中旬までに報告するよう指示されました。このことに私どもは謝意と敬意を表します。
今回の事案は、教科書業界と公務員である教育委員会・教師との間で起きた、下記の法律に抵触した重大な「犯罪行為」です。
・「刑法第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)及び198条(贈賄)の違反
・「地方公務員法第29条(懲戒)」の違反
・「独占禁止法」の違反           (各法律については資料参照)
当会はまず上記の「刑法第198条」への違反について、本日3月7日、該当各教科書会社
を東京地方検察庁に刑事告発したことをご報告いたします。

今回の事件は、不正行為を否定する教育をすべき立場の教員や教科書業界の倫理感が疑われます。「子供たちに顔向けできるのか?羞恥心があるのか?」と問いたい思いです。
よって私どもは文科省に対し、教育行政の信用回復と再発防止のために、下記の6点について速やかな検討・実施を切に望みます。
(注意)以下の文章(4)(6)は長すぎるので筆者が適度に要約したものです。
(1)文科省は、今回指示した各都道府県教育委員会からの報告の結果を精査し、影響があったとされた教育委員会は、教育委員会名とその報告内容を公表すること。また該当する教育委員会の採択地区について、採択の無効化とやり直しを検討すること。

(2)謝礼を受け取った当事者は全員氏名を公表し、処分を科すこと。
(3)教育現場で教育に関する不正行為を発見した者は、身分保障も含めて安心して、文科省へ直接通報できるシステム(内部通報制度)を構築すること。
(4)義家弘介文科副大臣は、「申告漏れが発覚した場合は指定取り消しも含めて必要な処置を講じることも辞さない。徹底的な調査を行っていただきたいと発言しているが、文科省主導のもと、申告漏れの事案の有無について、既に退職している教育関係者への聞き取も含めて徹底した調査を指示すること。
(5)その調査報告いかんでは、義家副大臣の発言通り、該当する発行会社を教科書発行停止などの厳罰に処すること。
(6)文科省は現行の教科書採択制度の問題点について早急に検討・見直しを行い、今後国民にとってより透明性の高い公正な教科書採択が行われるよう改善をはかっていただきたい。
最後に、本事案発覚の経緯は、昨秋からの報道の追及と文科省からの指導によって隠し切れないと判断した各教科書会社が、言わば自首した形で行われたものです。2月24日には、該当教科書会社10社が文科大臣に謝罪を行いました。しかし、本件は大臣の厳重注意をもって一件落着として幕を引くような軽微な事案ではありません。当会は今後も引き続いて注目して参る所存です。大臣に於かれましては、一層の指導力を発揮していただきたいと思います。

この「つくる会」本部が馳文科大大臣への申し入れが行われたのが3月7日、それから一ヵ月後の4月13日の産経新聞では公正取引委員会は12日、謝礼を渡すなどの行為で公正な取引がゆがめられた可能性があるとして、独禁法違反(不公正な取引方法)容疑で小中学校教科書を発行する全22社の担当者の事情聴衆を始めた。この産経の記事は少し長いが、重要なので全文を引用します。
[引用開始]
「一連の教科書謝礼問題で12日、公正取引委員会が小中学校の教科書を発行する全22社への調査に乗り出した。結果次第では一部教科の教科書が発行されない最悪のケースも想定される。教育行政に混乱を招いた教科書会社には改めて猛省が求められる。
「仮に公取委の判断があれば発行取消も含めて当然、検討する」。馳文科科学相は12日の閣議後会見でこう述べ、公取委が排除処置命令を出した場合は、教科書無償処置法に基づく教科書発行者の指定取り消しも含めて検討する考えを示した。
文科省によると、全22社のうち教員らに検定中の教科書を見せたのは12社、そのうち謝礼を提供したのは10社に上る。この10社は謝礼について「検定中の教科書を見せ、意見を聞いた事への対価」と説明し、シェ拡大に向けた勧誘の意図はなかったとしている。
今後の焦点は仮に排除処置命令が出され、指定取り消しが現実となれば、原則4年間使用する教科書の途中での採択やり直しのほか、一部の教科では教科書を発行する会社がなくなる事態にもなりかねない。文科省に対し「問題はない」と自己申告している残り10社についても、公取委の調査で何らかの不正が発覚すれば、文科省への虚偽報告となり、再発防止を誓った教科書業界へのダメージは計り知れない。長年続いてきた業界の旧弊にどこまで迫れるか。公取委の調査が注目される。」
[引用終了]

公取委の調査結果の発表が待たれるわけですが、マスコミは教育委員会のこの二つの罪だけに注目して記事にしていますが、もう一つ大きな罪を犯しているのです。この罪は私のような「つくる会」の会員で直接教科書採択戦を戦っている者だけが痛切に感じている罪なのです。
それは何か?全国の教育委員会関係者が、「つくる会」を徹底して無視し差別化したことです。徹底して無視され差別化されたことが分かる理由は何か?それは全国の教育委員会関係者が、まるで事前に取り決めたように「つくる会」の歴史教科書と公民教科書が一冊も注文をしなかったことです。「つくる会」の教科書は、そんなに悪い教科書なのでしょうか。私たちの教科書が教育委員会関係者に評判が悪かったのは、確かです。しかし教科書の内容が悪いというより教育委員会関係者の思想的違いによるものなのです。そのため「つくる会」の教科書採用が遅々として進まなかったことは確かです。それでも去年みたいに公立中学校から一冊も注文をもらえなかったことはありません。また「つくる会」が設立されて、つくる会の教科書の内容が他社の教科書の内容に多少なりとも影響し、例えば「従軍慰安婦」事件を取り上げる歴史教科書がなくなりました。私たち「つくる会」の会員は、教科書に採択される実績は、少なくても、日本全体の歴史教科書業界に影響を及ぼし多少でも改善されてきたことも事実です。

ところが昨年の採択戦では、一変しました。「つくる会」の教科書が徹底して差別され、その上去年初めて登場した「学び舎」、自虐史観たっぷり盛り込まれた歴史教科書が、国立中学校五校、そのほか名門私立中学校など30校以上に採用されたのです。日本共産党系の団体、歴史教育者協議会(歴教協)の現役教師とOBが執筆した教科書です。検定中に教科書を見せていた教科書会社10社を上げていたが、「学び舎」は上げられていません。本当かどうか疑わしい。「学び舎」の資金はどこから出ているのか、文科省が「学び舎」のような歴史教科書に検定合格を与えた理由はなにか。「学び舎」の最大の弱点は、うそを書いて日本を貶め、子供達に日本を誇りに思わせなくすることです。

教育委員会関係者が「つくる会」の差別化原因には思想的背景があることは間違いない。「つくる会」の教科書を採用しようものなら左翼関係者から猛反発がでる。教育委員会関係者は、元日教組関係者が多い。そのため同じ左翼から攻撃をうけやすい。「つくる会」には大きな欠陥がある。資金はすべて私たちのような個人の献金です。そのためいつも資金不足。ほかの教科書会社のように謝礼金など逆立ちしても出せないのだ。教育員会関係者にとって、「つくる会」の教科書を採用しても一銭の得にもならず、しかも同じ左翼から攻撃を受けるということで一切関わらずに徹底して無視した方が得というやりかたです。
現代社会では、「差別」すると言うことは悪のように嫌われています。教育委員会関係者は、意識して「つくる会」を徹底して差別し、「学び舎」のような徹底した自虐史観教科書を復活させ、「つくる会」の教科書業界に与える影響を無にしようとしているのです。公取委の調査報告がどういうものかわかりませんが、もし手ぬるいものであれば、私はこのような不埒な不祥事をなくすために、現在の教科書制度を廃止し、戦前の国定教科書にもどるべきです。私たち「つくる会」が、平成13年初めて文科省の検定合格を取得した年、国会内で「つくる会」の採択反対集会が開かれた。そのとき社会党の故土井たか子元衆議院議長は、「憲法は言論の自由を保障しているが、教科書については言論の自由は制限されていい。」と語っているのだ。マスコミの大勢は反日左翼だから土井の発言は大騒ぎにならなかった。自民党議員の発言だったら大騒ぎだったでしょう。現在の私は土井の意見に全く賛成。いまこそ国定教科書に戻るべきです。現在の政治は保守、教育は左翼の現状を変えるには、教科書を戦前の国定教科書制度に戻さねば、変わることは絶対にあり得ません。

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3 comments »

池田俊二 より:
2016年5月14日 7:55 PM
教科書を国定にすることに、私も理論的に賛成です。
ずゐぶん昔、福田恆存先生も、さう主張されました。

ただ、今は「(日本は)進むべき進路を誤り、戦争への道を進んで行きました」「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実」とのたまふ人が総理大臣です。
日本の主人公が在日でなくては提出される筈のない「ヘイトスピーチ規制法案」とやらが、参議院を昨日通過し、テレビは在日とそれに提灯を持つ日本人を100%正義として映し出しました。

そこでの国定教科書となれば、学び舎のそれがそつくりそのまま移行することはあつても、つくる会の方にお呼びがかかる可能性はきはめて低いでせう。

学び舎ーーこれが我ら日本人の総意だと思へば、すつきりしていいのでせうか。

えんだんじ より:
2016年5月15日 8:59 AM
池田俊二さん

国定教科書がいますぐ決まるとは考えていません。決まるまでに国会内外で一波乱、二波乱も
あるでしょう。私は大きな国内の波乱を期待します。そうすれば教育委員会も「つくる会」の教科書採用を少しは考えるかもしれません。反日左翼の言動には、彼らにとっても危機を呼び込むことになりかねないと思い知らさないといけないと思います。いままで彼らの言いたい放題、やりたい放題でした。長い戦いを得ても国定教科書にしなければなりません。

池田俊二 より:
2016年5月15日 5:38 PM
えんだんじさんへ

仰せ、一々ごもつともでせす。
「長い戦い」ですね。
これまでも、めげずたゆまず、七転び八起きで戦ひつづけて来られたえんだんじさんのお言葉だけに、重みがあります。

折角御健闘を願ひ上げます。

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