その本のタイトルは、「自衛戦力と交戦権を肯定せよ」、小山常美著、自由社。小山常美氏は「つくる会」理事であり公民教科書の執筆者の一人。自由社は「つくる会」の発行する教科書の出版社。今年は現行日本憲法の改正について本格的に論議されるでしょう。私が国民の皆さんに、なぜこの本を必読の本と薦めるのか、その理由は以下の通りです。
1.本の頁数は104頁、本の値段700円+税。内容充実、値段が安い。国民必読の書にはもってこいの本です。憲法改正の最大の注目は、軍事関係です。この本は現行憲法の軍事上の法的欠陥を示し、どう法的に対処すべきか詳細に書かれています。
2.憲法改正問題で一番重要なのは、軍事条項です。すなわち外国に関わる問題です。憲法改正問題が純然たる国内問題だけであるなら、いつでも簡単に修正、改正できます。しかし軍事条項は外国との関係、外交関係です。それだけに軍事条項の法律は、徹底して法的に、論理的に討論し、外国に曲解、歪曲されない条文を規定しなければいけません。私の推薦するこの本は、すべて軍事条項に関することだけを徹底して詳述しています。
3.憲法問題は堅苦しい問題になりがちです。そのため日本国民の多くの方々は、知識人はどのような考えを持っているのかに敏感になっていて、知識人たちの考え方を参考にしようとます。しかし私は、皆さんに自分たちで考えて、自分たちで結論を出して決めてくださいとお願いしています。私と同年代のオランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンという人がいます。彼の書いた「日本・権力構造の謎」は世界的なベストセラーになった。その後彼が書いた本、「日本の知識人へ」の一頁目の論文のタイトルは「なぜ日本の知識人はひたすら権力に追随するのか」。その論文の書き出しの文章には、こう書いてあります。
「日本では知識人が一番必要とされるときに、知識人らしく振る舞う知識人がまことに少ないようである。これはいたましいし、危険なことである。さらに、日本の国民一般にとって悲しむべき事柄である。なぜなら、知識人の機能の一つは、彼ら庶民の利益を守ることにあるからだ。」
私はこのウォルフレンの言葉に全く賛成です。日本の知識人は「ひたすら権力に追随するのです。」時流や権力に媚びることなく独立した冷静な話をしてくれる知識人が極端に少ないのだ。憲法学者、歴史学者、政治家たちは、終戦後当時の権力者、GHQに競うように追随したのだ。現在の憲法改正では安倍総理への保守知識人の追随者であふれるばかりです。
4.平成29年5月3日、安倍総理は憲法改正への新提案を提出した。その提案は憲法九条一項と二項を温存したまま三項を追加し、自衛隊が憲法違反だと言われない根拠規定とするという案でした。これに対して驚くなかれ、多くの保守知識人はこぞって賛成した。安倍総理の太鼓持ち知識人や太鼓持ち知識人になりたがる保守知識人がごまんといるのだ。
彼らは安倍総理の改正提案に全く賛成でもないのだが、安倍総理が改正しようと言うのならこの際憲法改正しよう。改正できるのは安倍総理しかいない、他に安倍総理の代わりに任せられる政治家はいないのだの一点ばりです。
5.この安倍総理の改正に反対なのがこの本の特徴なのです。現行憲法は、終戦直後アメリカ占領軍によって強制的に作成、施行されたのです。現行憲法を改正してしまったらアメリカ占領軍が作った憲法を現在の日本国民が認めたことになります。其の点を全く考慮しようともしないのです。また自虐史観をそのまま認めたことにもなります。帝国憲法が悪い憲法だったと日本国民は教えられてきた。それが不自然に容認されてきたのです。日本の憲法学者や歴史学者は、国民に嘘を教え込んできたのだ。この現行憲法を改正せず破棄し帝国憲法を復活させ、その帝国憲法を即改正すればいいのです。これこそが私が必読と勧めるこの本の主張です。私は現在の日本の保守知識人の主張など、「はい、そうですか。」と簡単に認めるわけにはいきません。皆さん、ぜひ小山常美著、「自衛戦力と交戦権を肯定せよ」をお読みください。
若い選挙権のある皆様へ。
皆さん、私が先ほど申し上げたように、この現行憲法は、日本敗戦後すぐにアメリカ占領軍(GHQ)によって強制的に施行されたものです。政治家、憲法学者、歴史学者などその強制施行という印象を極度に薄めようと細心の努力をはらってきた。国民にうそもついてきたのです。その結果日本独立回復後70年以上も何一つ変えることもなく保ってきたのです。現行憲法を改正すると、GHQが作った憲法は、日本憲法、すなわち日本人が作った憲法になってしまいます。そこで私の勧めるこの本は、現行憲法を法的に、論理的にどのように改正し、改正後の憲法をどのように処するかが書かれています。104頁という薄さだからぜひ熟読をお願いします。現在の日本人は現行憲法や大東亜戦争など自分自身で学ばないと本当のことを理解できないのです。私自身このことを知ったのは、40代に入ってからです。皆さんの努力を期待しております。
定年生活をしている皆様へ。
日本人の人口構成で私たち定年生活者の層が一番多いのです。すなわち私たちの動きで日本を動かすことができるのです。私たちが一致して安倍氏の改革に反対すれば、私たちの考え方を採用しようとする政治家も現れます。しかし残念ながらサラリーマン生活、40年もやっていると、いつも上からの命令で動くことに慣れているから、自分で決断して行動することに慣れていない。しかしこの憲法改正問題は、日本の明日を決める最重要問題です。どうか自分自身で勉強し、自分の判断で決めてください。その判断材料の一つとしてこの「自衛戦力と交戦権を肯定せよ」を読んで参考にしてください。
安倍総理への私の見解。
保守陣営の多くの方々は、安倍総理だけが頼りだ、安倍総理の代わりになる方がいないから、しかたがないのだの一点ばりです。私も最初は強力な安倍支持者であった。しかし彼には完全に失望した。一国会議員の時代から安倍氏は「つくる会」運動を積極的に支持してくれた。しかし総理になり育鵬社が設立されると反「つくる会」の伊藤哲夫氏、八木秀次氏などの支持に変節した。今ではこの二人は、安倍氏の太鼓持ちであることがわかった。この変節に加えて平成27年の安倍談話。平成29年の安倍氏の憲法改正内容等で完全に失望、絶望した。安倍氏にはアメリカの属国から完全に日本独立国家にし、対等の日米同盟を築こうとする勇気も根性もないのだ。所詮二世議員の一人、いざとなると度胸、根性もないのだ。保守支持者の連中は、安倍さんの代わりがいないと主張します。日本民族の資質が劣化してしまったと考える支持者が極端に少なっているのだ。これも日本民族資質の劣化の証明でしょう。
昔流の差別用語を使えば、戦争に負けた日本は毛唐が作った憲法を、日本国憲法にしろと言ったらその憲法も何一つ帰ることもなく日本独立後70年以上使い続けているのだ。私たちのすぐ上の先輩たちは、大東亜戦争で勇戦奮闘し、祖国日本の為に若い命を投げだしてくれたのだ。例え敗戦でも毛唐が作った憲法を独立後70年以上も無効にすることさえもできないのだ。私たちは、日本人の魂、「大和魂」を完全に失い、死語にしてしまったのだ。
私事を書きましょう。私は平成21年に自民党党員になった。党員番号0914-00996-8。その年は鳩山由紀夫内閣が誕生した年です。当時自民党員の登録数が激減したころです。自民党を潰してはいけないと入党したのです。以来今日まで自民党員を続けています。もし安倍総理が主張した通りに憲法改正が国民投票で支持されたら、私は自民党員をやめます。祖国日本の復活の夢が絶えたからです。こんな私を時代遅れの男と笑わば、笑え。俺は死ぬまで戦い続けるぞ。アメリカが作った憲法を日本製の憲法と認めるなら、その後の日本は、どうなるかはこの本に書いてあります。私の意見に賛成、反対にかかわらず、この本「自衛戦力と交戦権を肯定せよ」を読んでください。こういう考えもあることを知っていただきたい。お願いいたします。
最後にこの本の著者、小山氏の考え方は、「つくる会」の統一した考え方ではありません。「つくる会」にも色々な考え方がいます。それだけに皆さんも、自分自身で勉強し、自分自身で考えてください。その参考用としてこの本をぜひ読んでみてください。